暑くて眠れない夜の対策|熱帯夜のエアコン活用と受診の目安を医師監修で解説
睡眠のお悩み

暑くて眠れない夜の対策|熱帯夜のエアコン活用と受診の目安を医師監修で解説

「布団に入っても暑くて眠れない」「寝ついても汗や暑さで夜中に目が覚める」と、熱帯夜の睡眠に悩んでいませんか。エアコンをつけっぱなしにしてよいのか迷い、暑さを我慢している方もいるかもしれません。

暑い夜に眠りにくくなる背景には、眠る前に体の熱を外へ逃がし、深部体温を下げていく体の仕組みが関係しています。室温や湿度が高い環境ではこの放熱が進みにくく、寝つきにくさや夜中の目覚めにつながることがあります

また、熱帯夜には熱中症を防ぐためにも、無理にエアコンを我慢する必要はありません。一方、部屋を涼しくしても眠れない状態が続く場合や、大きないびき、睡眠中の呼吸停止、日中の強い眠気などがある場合は、暑さ以外の原因が隠れている可能性もあります。

この記事では、今夜からできる暑さ対策、エアコンの使い方、暑いと眠れない仕組み、夏の睡眠不足による日中の眠気・だるさ、医療機関への受診を考える目安まで、医師監修のもと分かりやすく解説します。

暑くて眠れないときに今夜できる対策

暑くて眠れない熱帯夜に快適に眠るための5つのコツを紹介する寝室のイメージ

暑くて眠れない夜は、体が熱を逃がしやすい状態と、暑さを我慢しなくてよい寝室環境を整えることが大切です。入浴の時間、寝具の選び方、水分補給、光の調整などは、その日の夜から見直せます。

ここでは、熱帯夜の寝苦しさをやわらげるために、今夜から取り入れやすい対策を5つに分けて紹介します。すべてを一度に変える必要はありません。できるものから試し、自分が眠りやすい条件を探してみましょう。

就寝1〜2時間前を目安にぬるめの入浴をする

暑い日は汗を流すためにシャワーだけで済ませたくなりますが、時間に余裕があれば、就寝の1〜2時間前を目安に入浴する方法があります。入浴で手足の血管が広がると、浴槽から出たあとに体の熱を外へ逃がしやすくなり、その後の深部体温の低下が入眠を後押しすると考えられています。

ポイントは、「寝る直前に体を熱くする」のではなく、入浴後にゆっくり体温が下がる時間をつくることです。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、就寝の約1〜2時間前の入浴が、入浴しなかった場合より速やかな入眠につながった研究が紹介されています。

夏場は、熱い湯に長時間つかる必要はありません。熱すぎる湯は交感神経の活動を高め、かえって入眠を妨げる可能性があります。汗が引かないほど体を温めると、寝室に戻ったあとも不快感が残ることがあります。心地よいと感じる温度で短めに入浴し、入浴後は涼しい部屋で落ち着いて過ごすとよいでしょう

ただし、体調が悪いときや、入浴によって息苦しさ・めまいなどを感じる場合は無理をしないでください。高齢の方や持病がある方は、普段の体調や医師からの指示を優先しましょう。

また、ぬるめの入浴であっても、暑い日には入浴後に汗が続くことがあります。浴室を出たら水分を補い、汗が落ち着いてから寝床に入るようにすると、寝具の中に熱と湿気を持ち込みにくくなります。

毎日の入浴をより快適な睡眠につなげたい方は、具体的なお風呂の入り方も確認してみてください。

👉 快眠につなげる入浴方法を詳しく見る

通気性・吸湿性のよい寝具を選ぶ

熱帯夜では、寝具の中に熱や湿気がこもるだけでも寝苦しさが増します。夏用の寝具を選ぶときは、「触った瞬間に冷たいか」だけでなく、通気性や吸湿性、汗を吸ったあとに乾きやすいかも確認しましょう

たとえば、敷きパッドやシーツ、掛け物は、体から出た熱や湿気を逃がしやすいものを選ぶと、寝床内の蒸れを減らしやすくなります。寝間着も同様で、汗を吸いにくいものや体に密着しすぎるものより、風が通りやすく、汗を吸って乾きやすい素材のほうが快適に感じることがあります。

一方、「接触冷感」と表示された寝具でも、冷たさの感じ方や持続時間には個人差があります。最初は冷たくても、寝返りが少ないと同じ場所に熱がこもることもあります。冷感の強さだけを基準にせず、蒸れにくさや肌触りも含めて選ぶことが大切です

寝具を何枚も重ねると、素材によっては空気がこもりやすくなることもあります。暑い夜は必要以上に厚くせず、冷房を使ったときに冷えすぎない程度の掛け物を用意しておくと調整しやすくなります。

また、汗で湿った寝間着やシーツをそのまま使うと不快感が続きやすいため、必要に応じて着替えたり、寝具を乾いた状態に整えたりすることも、今夜からできる簡単な工夫です。

寝間着については、素材だけでなく、着心地や寝返りのしやすさにも目を向けることが、快適な睡眠につながります。

👉 快眠につながるパジャマの選び方を詳しく見る

冷却グッズは「冷やしすぎない」使い方をする

冷却マットや冷却枕、保冷剤などは、暑さによる不快感をやわらげる補助として使えます。ただし、冷却グッズを使っているからといって、暑い部屋でエアコンを我慢するのは避けましょう。熱帯夜の対策では、まず寝室全体を安全に過ごせる環境に整えることが優先です。

保冷剤を使う場合は、凍ったものを直接肌に当て続けないようにしてください。タオルなどで包み、「心地よく涼しい」と感じる範囲で短時間使うのが基本です。冷たさを感じにくい方、皮膚が弱い方、乳幼児や高齢者などでは特に注意が必要です。長時間同じ場所を冷やし続けると、凍傷などの皮膚障害につながるおそれがあります。

また、「首・脇・鼠径部を冷やせば必ず眠れる」と考える必要はありません。こうした部位の冷却は、熱中症が疑われるときの応急的な身体冷却で用いられることがありますが、普段の寝苦しさへの対応とは目的が異なります。眠るための暑さ対策では、室温や湿度、寝具、風の当たり方など、寝室環境全体を整えることが基本です。

冷却グッズを使うなら、「冷やすほどよく眠れる」ではなく、「暑さによる不快感を減らすための補助」と考えるとよいでしょう。寒さを感じたらすぐに外し、体を冷やしすぎないことが大切です

寝る前と夜間の水分不足を防ぐ

暑い夜は、寝ている間にも汗をかきます。日中の発汗が多かった日や、入浴後に汗をかいた日は、寝る前の水分補給も忘れないようにしましょう。強いのどの渇きがあるのに「夜中にトイレへ行きたくないから」と水分を我慢するのはおすすめできません。

一方で、眠る直前に大量の水分をまとめて飲むと、夜間の尿意で目が覚めるきっかけになる場合があります。寝る前は無理に量を決めるのではなく、その日の発汗量や体調に合わせて適度に補給しましょう

アルコールを水分補給の代わりにすることも避けたいところです。お酒を飲むと眠気が出ることがありますが、睡眠が途中で途切れやすくなることがあり、暑い夜の快眠対策には向きません。汗を多くかいた日は、水や適切な飲料で水分を補いましょう。

なお、心臓や腎臓などの病気で水分摂取量について医師から指示を受けている方は、その指示を優先してください

夜間の強い口渇を繰り返す場合は、暑さやエアコンだけが原因とは限らないため、ほかの症状にも目を向けることが大切です。喉の渇きの原因や対策を詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。

👉 夜に喉が渇く原因と対策について詳しく見る

寝る直前のスマホ・強い光を控える

暑くて寝つけないと、布団の中でスマートフォンを見ながら眠気を待ちたくなるかもしれません。

しかし、寝る直前まで明るい画面を見続けると、光によって体内時計に影響し、入眠を妨げる要因になることがあります。動画やSNS、ニュースなどは内容そのものが刺激になり、気づかないうちに就寝時刻が遅くなることもあります。

厚生労働省の睡眠ガイドでは、寝室にスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして眠ることが良い睡眠につながるとされています。暑い夜ほど、「眠れないからスマホを見る」のではなく、寝る前は照明を少し落とし、刺激の少ない時間をつくることを意識しましょう

完全な暗闇が不安な場合や、夜間にトイレへ行く必要がある場合は、安全を優先しながら、足元灯など必要最小限の明かりを使う方法もあります。照明を暗くすることだけにこだわり、転倒などの危険を高めないようにしてください。

スマホを控えても眠れないときは、暑さ以外にストレス、生活リズム、カフェインなど別の要因が重なっていることもあります。暑さ以外も含めて「眠れないときの対処法」を確認したい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

👉 眠れない時に今夜できる対処法と受診の目安

なお、暑さ対策や睡眠環境を整えても眠りにくさが続く場合は、別の原因にも目を向けてみましょう。特に、家族から大きないびきを指摘されている方や、睡眠中の呼吸が気になる方は、いびきについて一度確認してみることも大切です。

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熱帯夜のエアコンはどう使う?つけっぱなし・室温・湿度の目安

熱帯夜に快適に眠るためのエアコンの使い方と室温・湿度の目安

熱帯夜に「エアコンをつけたまま寝ると体が冷えそう」「電気代が気になって途中で切りたい」と迷う方は少なくありません。しかし、暑さを我慢して眠ると睡眠が妨げられるだけでなく、夜間の熱中症につながるおそれもあります。

大切なのは、設定温度の数字だけで判断するのではなく、実際の室温・湿度と体調を確認しながら、冷房や除湿を使って寝室を快適に保つことです。ここでは、熱帯夜にエアコンを使うときの考え方を整理します。

熱帯夜はエアコンをつけたまま寝ても問題ない

真夏の夜に室温が高いままの場合は、エアコンを無理に切る必要はありません。必要に応じて朝まで運転を続け、眠っている間も暑さを避けられる環境を保つことが大切です

厚生労働省や環境省も、気温や湿度が高い日は無理な節電をせず、エアコンなどを適切に使うよう呼びかけています(参照:厚生労働省「熱中症にならないために予防の行動」)。

「冷房をつけっぱなしにすると体に悪い」と一律に考えるより、寝室が暑くなりすぎないことを優先しましょう。

タイマーを使う場合も、停止後に室温が上がって寝苦しくなったり、暑さで目が覚めたりすることがあります。とくに夜間も外気温が高い日は、眠り始めだけ冷やして数時間で切ることにこだわる必要はありません。

一方で、冷房を強くしすぎて寒さで目が覚めるようでは、快適な睡眠環境とはいえません。エアコンを使う目的は「体を冷やし続けること」ではなく、寝室の暑さと湿気をやわらげることです。掛け物や寝間着も含めて調整し、寒くも暑くもない状態を目指しましょう

また、就寝前に寝室がかなり暑くなっている場合は、寝る直前に冷房を入れるより、少し早めに運転して部屋にこもった熱を逃がしておくと調整しやすくなります。西日が入る部屋では、日中からカーテンやブラインドで日射を遮ることも室温上昇を抑える助けになります。

設定温度より「実際の室温」を確認する

エアコンを使うときに注意したいのが、「設定温度」と「実際の室温」は同じとは限らない点です。たとえば設定を28℃にしても、部屋の広さ、断熱性、日当たり、エアコンの能力、外気温などによって、寝ている場所の温度は28℃にならないことがあります。

夏の寝室では、室温26〜28℃程度が目安として紹介されることがありますが、すべての人に同じ温度が適しているわけではありません。

環境省では現在、クールビズにおいて一律の室温の目安を呼びかけていません。過去に示されていた「室温28℃」もあくまで目安であり、「エアコンの設定温度を28℃にする」という意味ではありません(参照:環境省「適切な室温管理について」)。

暑さを感じる、汗が止まらない、寝苦しいといった場合は、体調や湿度も確認しながら無理のない範囲で調整しましょう。

確認には、ベッドや布団の近くに温湿度計を置くと便利です。エアコン本体の温度センサーは本体周辺の空気を測っているため、寝床付近の温度と差が出ることがあります。とくに冷たい空気は低い位置にたまりやすいため、床に近い布団と高さのあるベッドでも体感が異なる場合があります。

「何℃に設定したか」ではなく、「実際に寝ている場所が暑すぎないか、冷えすぎていないか」を確認することがポイントです。家族で同じ部屋に寝ている場合も、年齢や体質によって快適に感じる温度は異なるため、寝具や衣類も使って調整しましょう。

なお、快適な睡眠環境を整えるには、室温だけでなく、明るさや寝具、ベッドの配置など、寝室全体に目を向けることも大切です。

👉 快適に眠れる寝室づくりのポイントを詳しく見る

湿度が高い日は除湿も活用する

気温だけでなく、湿度も寝苦しさに関係します。湿度が高い環境では汗が蒸発しにくくなり、体の熱を外へ逃がしにくくなります。「室温はそれほど高くないのに蒸し暑くて眠れない」という夜は、湿度にも目を向けてみましょう

夏の寝室では、湿度50〜60%程度がひとつの目安として紹介されています。ただし、これも固定された正解ではありません。外の湿度や住宅の構造、寝具、体調などによって快適さは変わるため、温湿度計を見ながら調整してください。

真夏の蒸し暑い日は、冷房運転でも室温を下げる過程で除湿されます。一方、梅雨時など「気温はそれほど高くないものの湿度が高い」という場合は、除湿運転が使いやすいことがあります。エアコンの除湿には、弱い冷房で除湿する方式や、除湿した空気を再び温める方式などがあり、消費電力や室温への影響も異なります。

そのため、「除湿のほうが冷房より必ず電気代が安い」「ドライなら必ず快眠できる」とは限りません。機種の取扱説明書で除湿方式を確認し、室温が高いなら冷房、湿気が気になるなら除湿も検討するなど、寝室の状態に合わせて使い分けましょう。

冷風を体に直接当て続けない

寝室を涼しくすることは大切ですが、エアコンの冷風を顔や体に直接当て続ける必要はありません。長時間同じ場所に風が当たると、寒さを感じたり、皮膚や喉の乾燥が気になったりして、かえって目が覚めることがあります。

風向きは、ベッドや布団へ直接吹き付けない方向に調整しましょう

部屋の温度にむらがある場合は、エアコンのルーバーを動かしたり、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させたりする方法があります。その際も、壁や天井へ向けて室内の空気を動かすと、直接風を受けにくくなります。

また、もともと口を開けて眠る習慣がある方は、冷房中に喉や口の乾燥を感じることがあります。ただし、エアコンを使うこと自体が口呼吸や睡眠時無呼吸症候群を引き起こすと断定することはできません。乾燥が気になる場合は、風向きや湿度を確認したうえで、鼻づまりや口呼吸など別の原因がないかも確認しましょう。

睡眠中の口呼吸が気になる方は、その原因や対策についてこちらの記事でも詳しく解説しています。

👉 睡眠時の口呼吸を治す方法と対策

高齢者・子どもは暑さを我慢しない

熱帯夜では、高齢者や子どもの寝室環境にも特に注意が必要です。

高齢になると暑さや水分不足を感じる感覚、体温を調節する機能が低下しやすいため、本人が「それほど暑くない」と話していても、室温が高くなっていることがあります。感覚だけに頼らず、温湿度計で寝室の状態を確認しましょう

子どもは大人と比べて体温調節能力が十分に発達していないため、周囲の大人が室温や発汗の状態を確認することが大切です。乳幼児の場合は自分で「暑い」と伝えられないこともあるため、寝具を重ねすぎていないか、汗を多くかいていないかなども確認してください。

高齢者や子どもがいる家庭では、節電を優先してエアコンを我慢するのではなく、安全に眠れる温度を保つことを優先しましょう

なお、快適な睡眠のためには、室温や湿度などの寝室環境だけでなく、睡眠中の呼吸にも目を向けることが大切です。暑さ対策をしても眠りの質が気になり、いびきも指摘されている方は、いびきの原因や治療方法についても確認してみましょう。

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なぜ暑いと眠れない?深部体温と「放熱」の仕組み

暑いと眠れない理由となる深部体温の低下と体からの放熱の仕組み

「暑いと寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」と感じるのは、単に不快だからというだけではありません。

睡眠と体温調節は深く関わっており、眠りにつく前には、体の内部にたまった熱を外へ逃がしながら深部体温を下げていく変化が起こります。気温や湿度が高い夜は、この熱の逃げ道がつくりにくくなります。

監修医
木村真聡

ここでは、暑さが睡眠を妨げる仕組みを、深部体温・放熱・自律神経・体内時計という4つの視点から整理します。

眠る前には体の内部の温度が下がっていく

私たちの体温は一日中一定ではなく、約24時間のリズムに沿って変化しています。日中は比較的高く、夜になると徐々に低下し、睡眠中に低い状態となったあと、起床に向かって再び上昇していきます。この体の内部の温度を「深部体温」と呼びます。

眠る前には、手足など体の末端の血管が広がり、皮膚の表面へ血液を送りやすくなります。すると、体内にある熱を皮膚から外へ逃がしやすくなり、それに伴って深部体温が下がっていきます

この「熱を外へ逃がすこと」が放熱です。睡眠と体温調節に関する研究では、深部体温が低下していく時間帯と、眠りにつきやすい時間帯が密接に関係することが示されています

ここで注意したいのは、「体を冷たくすれば眠れる」という意味ではないことです。眠りやすい状態をつくるうえで重要なのは、体温を無理に下げることではなく、体が自然に熱を逃がせる環境を整えることです。就寝前の入浴が活用されるのも、一度温まったあとに皮膚から熱を放散しやすくするという考え方が背景にあります。

また、手足が温かく感じることと、体の中心部の温度が高いことは同じではありません。眠る前に手足が温かくなるのは、末端から熱を逃がすための生理的な変化のひとつです。そのため、暑く感じるからといって手足を強く冷やす必要はなく、まずは自然に放熱しやすい寝室環境を整えることが大切です。

室温・湿度が高いと体の熱を逃がしにくい

暑い夜に寝つきにくくなる大きな理由のひとつが、周囲へ熱を逃がしにくくなることです。外気や寝室の温度が高いと、体と周囲の温度差が小さくなるため、皮膚から熱を放出しにくくなります。その結果、眠る前に必要な深部体温の低下が進みにくくなることがあります。

さらに湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなります。汗は、皮膚の表面で蒸発するときに熱を奪うことで体温調節を助けていますが、空気中の水分量が多いと蒸発しづらくなります。「温度はそれほど高くないのに蒸し暑くて眠れない」と感じるのは、こうした湿度の影響も関係しています。

寝具の中も同様です。厚い寝具や通気性の低い素材によって熱と湿気がこもると、寝室全体は涼しくても体の周りだけが蒸し暑くなることがあります。夏の快眠対策では、エアコンだけでなく、寝床の中の温度や湿気にも目を向けることが大切です

また、眠ったあとも寝室が暑い状態が続くと、暑さによる不快感や発汗によって睡眠が途中で妨げられることがあります。熱帯夜に「寝つけたのに何度も目が覚める」という場合は、入眠時だけでなく、夜間を通して寝室環境が保たれているかを確認してみましょう。

暑さは覚醒状態や自律神経にも影響する

暑い環境では、体は皮膚の血流を増やしたり汗をかいたりして、体内にたまった熱を外へ逃がそうとします。自律神経は、こうした体温調節のほか、心拍や血流、発汗などの働きを調整しています。

暑さが続くと、眠っている間も体温を調節するための反応が続き、快適な環境と比べて体が休まりにくくなることがあります。さらに、暑さによる不快感そのものが刺激となり、寝つきにくくなったり、夜中に目が覚めたりする原因になることもあります。

ただし、「暑くて眠れない=自律神経が乱れている」と単純に考えることはできません。睡眠には、体温調節だけでなく、体内時計や睡眠欲求、光、室温・湿度、生活習慣など、さまざまな要因が関係しています。

そのため、暑くて眠れないときは自律神経だけに注目するのではなく、まずは室温や湿度を調整し、体が無理なく熱を逃がせる寝室環境を整えることが大切です。

なお、暑さへの対策をしても、朝の熟睡感が乏しい、何度も目が覚めるといった状態が残る場合は、「どれくらい眠ったか」だけでなく「どのように眠れているか」に目を向けることも大切です。眠りの深さに関わる要因についても確認してみましょう。

👉 眠りが浅くなる原因と改善方法を詳しく見る

暑さだけでなく光と体内時計も睡眠に影響する

夏の睡眠を考えるうえでは、暑さだけでなく「光」も重要です。私たちの睡眠・覚醒リズムは体内時計によって調整されており、光はそのリズムを整える重要な手がかりになります。朝に光を浴びることは体内時計を整える一方、夜遅くまで強い光を浴びる生活は、眠るタイミングを後ろへずらす要因になります。

睡眠に関係するホルモンのひとつにメラトニンがあります。メラトニンは夜間に分泌が高まり、睡眠・覚醒リズムの調整に関わります。

夏は日の出が早く、日没が遅いため、冬に比べて明るい時間が長くなります。そのため、夕方以降に光を浴びる時間帯によっては、体内時計や眠るタイミングに影響することがあります。ただし、「夏だからメラトニンが出なくなり眠れなくなる」という単純な関係ではありません。

実際の睡眠には、夜間の照明、スマートフォンの使用、起床時刻、日中の活動量、寝室の温度など複数の要因が影響します。

暑い夜の対策では、室温や湿度を整えるだけでなく、朝は適度に光を浴び、夜は照明やスマートフォンの明るさを抑えるなど、体内時計が大きくずれない生活を意識することも大切です

暑さ対策だけでなく、睡眠環境や生活習慣を含めて睡眠の質を整えたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

👉 睡眠の質を上げる方法を詳しく見る

夏の睡眠不足で眠気・だるさが続くのはなぜ?夏バテとの悪循環

夏の睡眠不足による眠気やだるさと生活リズムの乱れが続く悪循環の仕組み

暑くて眠れない夜が続くと、問題は夜だけでは終わりません。睡眠時間が短くなったり、暑さで何度も目が覚めたりすると、翌日の眠気やだるさ、集中しにくさとして表れることがあります。

夏は暑さによる疲労感や食欲低下なども重なりやすいため、「夏バテだから仕方ない」と考えてしまいがちです。ここでは、夏の睡眠不足が日中に与える影響と、生活リズムを崩さないためのポイントを解説します。

夏の睡眠不足は日中の眠気・集中力低下につながる

暑さで寝つくまでに時間がかかったり、夜中に何度も目が覚めたりすると、翌日に必要な睡眠を十分に確保できないことがあります。睡眠不足が続くと、日中の眠気や疲労感だけでなく、注意力や判断力の低下、作業効率の低下などにつながることがあります。

「夏になると仕事中にぼんやりする」「午後になると強く眠くなる」「寝ても疲れが取れない」と感じる場合、暑さそのものだけでなく、夜間の睡眠不足が影響している可能性があります。

睡眠は心身の疲労回復に必要な休養であり、寝苦しい夜が何日も続けば、十分に休めない状態が積み重なります。とくに運転や危険を伴う作業では、眠気を我慢して続けることは避けましょう

「夏だから仕方ない」と毎年やり過ごすのではなく、まず夜の睡眠時間と睡眠の質を見直すことが大切です。朝起きたときに十分休めた感覚があるかも、睡眠状態を振り返る手がかりになります。

睡眠不足と夏バテ症状が重なると悪循環になりやすい

夏に感じやすい「だるい」「食欲が出ない」「疲れが抜けない」といった不調は、一般に「夏バテ」と呼ばれることがあります。ただし、夏バテは特定の一つの病気を指す言葉ではなく、暑さによる体への負担、食事量の低下、生活リズムの変化など、さまざまな要因が重なって起こる不調の総称として使われています。

そこに睡眠不足が重なると、日中に強い眠気や疲労を感じて活動量が減り、昼間に長く寝てしまったり、休日に遅い時間まで寝たりして、生活リズムが後ろへずれることがあります。すると夜になっても十分な眠気が生じにくくなり、再び寝つきにくくなるという悪循環につながることがあります

そのため、夏のだるさをすべて「夏バテ」と決めつけず、夜にどのくらい眠れているか、途中で何度も目が覚めていないか、朝に休養感があるかも振り返ってみましょう。

室温や湿度を整えて睡眠を確保することは、夏の体調管理という点でも重要です。食事や水分、活動量、睡眠などを一つずつ確認すると、不調につながっている生活上の要因を整理しやすくなります。

日中眠いときも長すぎる昼寝には注意する

前夜に十分眠れず日中に眠気が強い場合は、短時間の昼寝を活用する方法があります。厚生労働省では、午後の眠気を解消する方法として15分程度の昼寝が紹介されています。高齢者では、30分程度の昼寝が夕方のうたた寝を減らし、夜の睡眠につながる場合もあります。

一方、日中に長時間眠ったり、夕方以降に眠り込んだりすると、その分だけ夜に眠るための睡眠欲求が弱まり、寝つきに影響することがあります。昼寝をする場合は「夜の睡眠を取り戻すために何時間も寝る」のではなく、眠気を一時的に軽くするための補助と考えましょう

また、夜に十分な睡眠時間を確保しているつもりでも、日中の強い眠気が繰り返す場合は注意が必要です。眠気の原因は睡眠不足だけではなく、睡眠時無呼吸症候群など、夜間の睡眠の質を低下させる睡眠障害が関係することもあります。

いびきが気になる方や、ご家族からいびきを指摘されている方は、当院で行っているいびきレーザー治療の特徴もあわせてご確認ください。

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涼しくしても眠れないときは?受診の目安と睡眠障害のサイン

暑さ以外に眠れない原因や受診の目安となるサインを示した図|大きないびき・呼吸停止、日中の強い眠気、入眠困難など

寝室を涼しく整えても眠れない、暑さが落ち着いても不眠が続く、いびきや日中の強い眠気がある――こうした場合は、「夏だから仕方ない」と決めつけず、暑さ以外の原因にも目を向けることが大切です。

一時的な寝苦しさであれば環境調整で改善することもありますが、症状の続き方や伴う症状によっては、不眠症や睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの睡眠障害が関係している可能性があります。

監修医
木村真聡

ここでは、受診を考える目安と、医療機関で確認したいポイントを整理します。

暑さによる一時的な不眠と、別の原因を考えたい状態

暑い夜だけ寝つきにくく、エアコンなどで寝室を涼しくすると眠れるのであれば、まずは高温多湿の環境が睡眠を妨げている可能性が考えられます。気温が下がった日には眠れる、熱帯夜の時期を過ぎると症状が落ち着くといった場合も、暑さによる一時的な影響が中心と考えやすいでしょう。

一方、室温や湿度を整えても寝つけない、夜中に何度も目が覚める状態が続く場合は、暑さだけでは説明できないことがあります。不眠症では、寝つきが悪い「入眠障害」、夜中に繰り返し目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚めて再び眠れない「早朝覚醒」などのタイプがみられます。

不眠は、ストレスや生活リズムの乱れ、こころや体の病気、薬の影響などさまざまな要因で起こります。そのため、「自律神経が乱れている」「夏バテだから」と自己判断して原因を一つに絞るのではなく、いつから続いているか、どのような症状があるか、日中の生活に支障が出ているかを確認することが大切です。

不眠症の症状や一般的な治療について詳しく確認したい方は、こちらも参考にしてください。

👉 不眠症の治し方と医療機関へ相談する目安を詳しく見る

受診を検討したいチェックリスト

暑くて眠れないと感じている方でも、次のような状態がある場合は、寝室環境の調整だけで様子を見続けるのではなく、医療機関へ相談する目安になります。

  • 寝室を涼しくしても、なかなか寝つけない
  • 夜中に何度も目が覚める状態が続いている
  • 家族やパートナーから大きないびきを指摘されている
  • 睡眠中に呼吸が止まっていると言われたことがある
  • 十分な睡眠時間を確保しても、日中の強い眠気やだるさが続く
  • 動悸や息苦しさ、息が詰まるような感覚で目が覚めることがある
  • 暑さが和らぐ季節になっても不眠が続く

これらは、該当したからといって特定の病気と診断できるものではありません。あくまで受診を考えるための目安です。症状の強さや続く期間、既往歴などによって判断は異なるため、気になる状態が続く場合は医師に相談してください。

また、胸の強い痛み、強い息苦しさ、意識がもうろうとするなど緊急性が疑われる症状がある場合は、速やかに救急受診や救急要請を検討してください。

いびき・呼吸停止・強い眠気がある場合はSASの可能性も

暑さ対策をしても眠った感じがしないうえに、大きないびき睡眠中の呼吸停止日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れている可能性も考えます。SASは、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする状態を繰り返す睡眠障害です(参照:厚生労働省の健康づくりサポートネット「睡眠時無呼吸症候群/SAS」)。

呼吸が繰り返し妨げられると睡眠が分断され、本人は長く寝たつもりでも十分な休養感を得られず、日中の眠気や集中力低下につながることがあります。呼吸停止は本人が気づきにくいため、家族やパートナーからの指摘が受診のきっかけになることもあります。

ただし、「夏になるとSASになる」「エアコンを使うとSASが悪化する」と単純に考えることはできません。暑くて眠れない時期にいびきや眠気が目立ったとしても、その背景に以前からあった睡眠障害がないかを確認する、という視点が重要です。

SASの症状やセルフチェック、一般的な検査方法について詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。

👉 睡眠時無呼吸症候群の症状・セルフチェック・検査方法を詳しく見る

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査と一般的な治療

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は、いびきや日中の眠気などの症状だけで確定診断することはできません。

一般的には、睡眠中の呼吸状態や酸素飽和度などを調べる簡易検査や、脳波・呼吸・心電図など複数の項目を記録する終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)などを用いて、睡眠中の状態を評価します。どの検査が必要になるかは、症状や医師の判断によって異なります

検査の結果、SASと診断された場合には、症状や重症度などに応じて治療方法が検討されます。一般的な治療には、CPAP療法や口腔内装置の使用、生活習慣の見直しなどがあります。

大切なのは、「いびきがあるからSAS」「日中眠いからSAS」と症状だけで判断するのではなく、必要に応じて適切な検査を受け、自分の状態に合った治療を検討することです

一方、いびきの状態や原因によっては、いびきそのものに対する治療が検討されることもあります。

いびきが気になる方へ|スリープメディカルクリニックの「スノアレーズ」

スリープメディカルクリニックでは、いびきにお悩みの方に向けて、いびきレーザー治療「スノアレーズ」を提供しています。スノアレーズは、喉や口蓋にレーザーを照射し、喉の組織を引き締めて気道を広げることで、いびきの改善を目指す自由診療の治療です。

当院では、患者様のいびきの状態や口腔内の状態などを医師が確認したうえで、スノアレーズが適しているかを判断します。すべてのいびきに同じ治療が適しているわけではなく、症状や原因によっては別の検査や治療が必要になる場合があります。

※当院では睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査は行っていません。検査が必要な場合は、対応する医療機関を受診してください。

スノアレーズの効果の現れ方や、必要な治療回数には個人差があります。当院では治療の内容や費用、考えられるリスクなどをご説明したうえで、患者様の状態に応じて治療をご提案しています。

「家族からいびきを指摘されている」「いびきを治療したい」とお悩みの方は、スノアレーズの治療内容についてこちらで詳しくご確認いただけます。

属性別|更年期・妊娠・生理前・高齢者・足が暑くて眠れないとき

暑くて眠れないときの属性別の原因と対策|更年期、妊娠中、生理前、高齢者、足が火照る場合

暑くて眠れない原因は、室温や湿度だけとは限りません。更年期や月経周期、妊娠などに伴うホルモンの変化、年齢による体温調節の変化、足の不快感などが重なると、同じ寝室環境でも寝苦しさを強く感じることがあります。

ここでは、5つのケースについて、背景と対処の考え方を整理します。暑さ対策をしても症状が強い場合や、日常生活に支障が出る場合は、暑さだけの問題と考えず、適切な診療科へ相談することが大切です。

更年期に暑くて眠れない場合

更年期には、女性ホルモンの変動に伴って、ほてりやのぼせ、発汗などのホットフラッシュが現れることがあります。夜間に症状が起こると、寝つきにくくなったり、汗で目が覚めたりして睡眠が妨げられることがあります。

夏は室温の高さと熱感が重なりやすいため、寝室の温度・湿度を整え、汗を吸いやすく乾きやすい寝間着や寝具を選びましょう。ただし、更年期の不眠をすべて「自律神経の乱れ」と考える必要はありません。

ほてりや発汗、気分の落ち込み、動悸などが強く生活に支障が出ている場合は、婦人科などへの相談を検討してください。治療の適否は個人の状態によって異なるため、薬を自己判断で使用せず、医師や薬剤師に相談しましょう

妊娠中・妊娠後期に暑くて眠れない場合

妊娠中は時期によって睡眠の状態が変化します。とくに妊娠後期は、お腹が大きくなって楽な姿勢を取りにくくなるほか、頻尿、腰や関節の痛み、こむら返りなどが重なり、夜中に目が覚めやすくなることがあります。そこへ夏の暑さが加わると、さらに寝苦しく感じる場合があります。

妊娠中も暑さを我慢する必要はありません。エアコンを適切に使い、抱き枕やクッションなどで楽な姿勢を探しましょう。汗をかいた日は水分不足にも注意しますが、医師から水分量について指示を受けている場合はその指示を優先してください。

市販の睡眠改善薬を自己判断で使用するのは避けましょう。不眠が続く、足の強いむずむず感がある、いびきや呼吸停止を指摘されるなど気になる症状がある場合は、まず妊娠を管理している産婦人科の医師に相談してください(参照:厚生労働省「妊娠と薬」)。

生理前に暑くて眠れない場合

月経周期に伴うホルモンの変化も、睡眠や体温に影響します。排卵後から月経前の黄体期には基礎体温が高くなり、深部体温の日内リズムの変化が小さくなることがあります。そのため、月経前は睡眠が浅くなったり、日中の眠気が強くなったりする人がいます(参照:厚生労働省の健康づくりサポートネット「女性の睡眠障害」)。

「生理前になると暑くて眠れない」場合は、寝室を涼しく整えるとともに、症状が起きる時期を記録すると月経周期との関係を把握しやすくなります。強い冷却で無理に体温を下げるより、自然に熱を逃がしやすい環境を整えましょう。

不眠に加えて強い気分の落ち込みやイライラ、頭痛、むくみなどがあり、日常生活への支障が大きい場合は、PMS(月経前症候群)などが関係している可能性もあるため、婦人科に相談してください。

高齢者は熱帯夜の熱中症に特に注意する

高齢者は加齢に伴って、暑さやのどの渇きを感じにくくなることがあります。本人が「暑くない」と感じていても寝室の温度や湿度が高い場合があるため、感覚だけに頼らず温湿度計を活用しましょう

熱帯夜は節電を理由にエアコンを我慢せず、必要に応じて冷房を使うことが大切です。家族がいる場合は、室温や水分摂取の状況を一緒に確認するとよいでしょう。

心臓や腎臓などの持病があり、水分量について医師から指示を受けている場合は、その指示に従ってください。強いだるさ、めまい、頭痛、吐き気、意識がもうろうとするなど熱中症が疑われる場合は、状態に応じて速やかに受診や救急要請を検討してください。

足が暑くて眠れない場合

「足の裏が熱い」「足だけがほてる」という場合は、まず寝具の中に熱がこもっていないか確認しましょう。通気性のよい寝具を使い、足元を必要以上に覆わないなど、熱を逃がしやすくすることで楽になる場合があります。

一方、夕方から夜に足がむずむずする、火照る、じっとしていると不快感が強くなり、動かすと一時的に楽になる場合は、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)が関係している可能性があります(参照:厚生労働省の健康づくりサポートネット「レストレスレッグス症候群/むずむず脚症候群」)。

こうした症状が毎晩のように現れて眠れない、足を動かさずにはいられないなど睡眠に影響している場合は、「足が暑い体質」と自己判断して冷やし続けるだけでなく、睡眠障害を診療する医療機関や神経内科などへ相談しましょう。

暑くて眠れない夜についてよくある質問

暑くて眠れない夜に関するよくある質問|エアコンの使い方、体の冷やし方、夏バテ、いびきなど

暑くて眠れない夜には、「エアコンは朝までつけてもいい?」「体を冷やすならどこがいい?」など、対処法について迷うことも多いでしょう。ここでは、熱帯夜の睡眠についてよくある6つの疑問に、医療的な注意点も含めて簡潔に回答します。

Q1:エアコンをつけっぱなしで寝ても大丈夫ですか?

熱帯夜は、無理にエアコンを切る必要はありません。タイマーが切れたあとに室温が上昇すると、寝苦しさで目が覚めたり、夜間の熱中症につながったりするおそれがあります。

暑さを我慢するより、必要に応じて朝まで冷房を使い、寝室を快適に保つことを優先しましょう。

ただし、「設定温度28℃」を一律の正解にするのではなく、実際の室温や湿度、体調を確認して調整します。冷風が体へ直接当たり続けないよう、風向きにも注意してください。

Q2:暑くて眠れないのは病気ですか?何科に行けばいいですか?

熱帯夜だけ眠りにくく、寝室を涼しくすると眠れる場合は、暑さによる一時的な影響が考えられます。一方、涼しい環境でも不眠が続く、日中の生活に支障がある場合は、不眠症など別の原因が関係している可能性があります。

不眠が中心なら、睡眠外来や内科、精神科・心療内科などが相談先になります。大きないびきや呼吸停止、強い日中の眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群を診療し、必要な睡眠検査に対応できる医療機関へ相談しましょう。

Q3:寝る前に体を冷やすと逆に眠れなくなると聞きましたが本当ですか?

「体を冷やすと必ず眠れなくなる」というわけではありません。

ただし、眠るために体を強く冷やす必要もありません。睡眠前は、体の内部の熱を自然に外へ逃がして深部体温が下がっていくことが重要です。

保冷剤などで寒さを感じるほど冷却するより、まずエアコンで寝室の温度・湿度を整えましょう。冷却グッズを使う場合は、直接肌に長時間当てず、心地よい範囲の補助として使用してください。

Q4:暑くて寝られないときは、どこを冷やすとよいですか?

普段の寝苦しさへの対策では、特定の部位を冷やすことより、まず寝室全体の温度と湿度を適切に保つことが基本です。冷却枕や保冷剤などを使う場合は、直接肌へ長時間当てず、冷やしすぎないようにしてください。

なお、熱中症が疑われる場合の応急処置では、体を冷やすために首の周り、脇の下、足の付け根などを冷却する方法があります。これは通常の快眠対策とは目的が異なります。意識障害など重い症状がある場合は、睡眠対策ではなく救急対応を優先してください(参照:厚生労働省「熱中症が疑われる人を見かけたら」)。

Q5:夏の寝不足で日中だるいです。夏バテとどう違いますか?

「夏バテ」は特定の一つの病気を指す言葉ではなく、暑い時期にみられる疲労感や食欲低下などの不調をまとめて表現する際に使われます。

睡眠不足でも、眠気やだるさ、集中力低下などが起こるため、症状だけで両者を明確に分けるのは難しいことがあります。

夜の睡眠時間や中途覚醒、朝の休養感を振り返り、寝室環境を整えても強い眠気やだるさが続く場合は、別の病気や睡眠障害が隠れていないか医療機関へ相談しましょう。

Q6:夏だけ大きないびきをかくと言われます。関係ありますか?

夏にいびきが目立ったとしても、「夏の暑さがいびきを引き起こしている」とは一概にいえません。

いびきには、気道の狭さ、鼻の通り、飲酒、寝姿勢、体重など複数の要因が関係します。季節による鼻の状態や、生活習慣の変化が影響することも考えられます。

大きないびきに加えて、睡眠中の呼吸停止や窒息感、起床時の頭痛、日中の強い眠気などがある場合は、暑さだけの問題とせず、睡眠時無呼吸症候群の可能性について医療機関へ相談してください。

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まとめ|暑さ対策をしても眠れない場合は原因を確認しよう

暑さ対策をしても眠れない場合に専門機関へ相談するイメージ|エアコンのある寝室と医師に相談する女性

暑くて眠れない夜は、寝室の温度や湿度が高く、体の熱をうまく外へ逃がせないことが睡眠を妨げる一因になります。とくに熱帯夜は、寝つきにくくなるだけでなく、暑さや発汗によって夜中に目が覚め、睡眠が途切れやすくなることもあります。

まずはエアコンや除湿を適切に使い、実際の室温・湿度を確認しながら、眠りやすい寝室環境を整えましょう。冷風を体に直接当て続けたり、冷却グッズで体を冷やしすぎたりするのではなく、通気性のよい寝具を選ぶ、就寝前の入浴や水分補給を見直すなど、体が自然に熱を逃がしやすい状態をつくることが大切です。

また、寝る直前のスマートフォンや強い光を控えるなど、睡眠のリズムを整えることも意識してみてください。

一方で、寝室を涼しくしても眠れない状態が続く場合は、暑さだけが原因とは限りません。不眠が長引く、日中の眠気やだるさが強いなど、生活に支障が出ている場合は、睡眠障害など別の原因がないか医療機関へ相談することも検討しましょう。

また、大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘される、十分な睡眠時間をとっているのに日中の強い眠気が続くといった場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れている可能性もあります。暑さによる一時的な寝苦しさと決めつけず、気になる症状に応じて適切な医療機関へ相談することが大切です。

監修医
監修医

大阪大学医学部を卒業後、大学病院や一般病院での臨床経験を経てレーザー治療を中心に専門性を磨き、日本レーザー医学会認定医1種や日本抗加齢医学会専門医の資格を取得。その豊富な実績が評価され、某大手クリニックで総院長を務めるなど、10年以上にわたり医療の最前線で活躍しています。また、著書『医師が教える最強のメンズ美容ハック』(幻冬舎)などを通じて、レーザー治療や健康管理に関する情報を積極的に発信。現在は、その長年の知見と技術力を活かし、いびきのレーザー治療クリニックを監修し、患者一人ひとりの悩みに寄り添った安全かつ効果的な治療を提供しています。

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