いびきは加齢でひどくなる?年代別の原因と改善策を医師が解説
いびきのお悩み

いびきは加齢でひどくなる?年代別の原因と改善策を医師が解説

「若い頃はいびきをかかなかったのに、最近家族から指摘されるようになった」「年齢とともに音が大きくなっている気がする」と感じていませんか。いびきは単なる癖のように見えても、加齢によるのどや舌まわりの変化、体重増加、ホルモンバランスの変化などが重なって起こることがあります。

30代では生活習慣や体重変化、40代では筋力低下、50代では更年期や生活習慣病、60代以降では睡眠時無呼吸症候群(SAS)や服薬、基礎疾患の影響にも注意が必要です。特に女性は更年期以降にいびきが増えることがあり、男性も飲酒や首まわりの脂肪によって悪化しやすくなります。

この記事では、加齢でいびきが増える原因を年代別・男女別に整理し、セルフケアで見直せること、SASとの違い、医療機関へ相談すべき目安、治療選択肢までわかりやすく解説します。

「年齢のせいだから仕方ない」と決めつけず、まずは自分のいびきの特徴を知ることから始めましょう。

加齢でいびきが増えるのはなぜ?

加齢で舌根が沈下し気道が狭くなることでいびきが増える仕組みのイラスト

いびきは、年齢を重ねたから突然起こるものではありません。若い頃から少しずつ進むのどや舌まわりの変化に、体重増加、鼻づまり、飲酒、睡眠不足などが重なることで、「最近いびきが大きくなった」と感じやすくなります。

監修医
木村真聡

加齢によるいびきを考えるときは、「老化だから仕方ない」と見るのではなく、気道が狭くなる原因を分けて確認することが大切です。

いびきは気道が狭くなり粘膜が振動して起こる

いびきは、睡眠中に空気の通り道である上気道が狭くなり、その周囲の粘膜や軟口蓋が振動することで起こります。

軟口蓋とは、上あご(口蓋)の後方にあるやわらかい部分で、その中央から垂れ下がっているのが口蓋垂(のどちんこ)です。睡眠中は上気道に関係する筋肉がゆるみ、軟口蓋や口蓋垂、舌根部などの組織が振動することで、いびき音が発生するとされています(参照:日本耳鼻咽喉科学会 宮城県地方部会「メディカルアドバイス(いびき)」)。

起きているときは、のどや舌の筋肉がある程度緊張しているため、気道は保たれやすい状態です。しかし眠っている間は全身の筋肉がゆるみ、舌の根元が後ろに落ち込みやすくなります。

加齢によって気道を支える力が弱くなると、以前と同じ寝姿勢でもいびきが目立ちやすくなります。

のど・舌まわりの筋力低下

加齢でいびきが増える大きな理由の一つが、のどや舌まわりの筋力低下です。舌、軟口蓋、のどの奥の筋肉は、睡眠中に気道を支える役割を持っています。これらの筋肉が弱くなると、眠っている間に舌が奥へ落ち込みやすくなり、気道が狭くなります。

イメージとしては、やわらかいストローを少し押しつぶした状態に近いです。空気の通り道が狭くなるほど、空気の流れは乱れ、周囲の組織が振動しやすくなります。

ただし、筋力低下が関係しているからといって、何もできないわけではありません。のどや舌を動かす習慣は、気道を支える力の維持につながる可能性があります。

睡眠中の舌の位置や、気道がふさがりやすくなる状態について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になります。
👉 舌根沈下の原因・治し方を詳しく見る

気道まわりの弾力低下

年齢を重ねると、皮膚だけでなく、のどまわりの組織にもハリや弾力の変化が起こります。コラーゲンやエラスチンは、組織のしなやかさを保つ成分です。加齢によりこれらが少しずつ減少すると、のどの奥がたるみやすくなり、空気の通り道が狭くなることがあります。

この変化は完全に若い頃の状態へ戻せるものではありませんが、口呼吸の改善、乾燥対策、生活習慣の見直しなどによって、のどへの刺激や負担を減らすことは可能です。

首まわりの脂肪や体型変化

加齢とともに基礎代謝が下がると、以前と同じ食事量や運動量でも体重が増えやすくなります。特に首まわりやあご下に脂肪がつくと、気道が外側から圧迫され、睡眠中に空気が通りにくくなることがあります。

いびきは体重だけで決まるものではありませんが、「体重が増えてからいびきを指摘されるようになった」「仰向けで寝ると音が大きい」という方は、首まわりの脂肪が影響している可能性があります。肥満や生活習慣病が重なる場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクにも注意が必要です。

鼻・上気道の変化

いびきは、のどだけでなく鼻の通りやすさにも影響されます。鼻づまり、アレルギー性鼻炎、鼻粘膜の乾燥などがあると鼻呼吸がしづらくなり、眠っている間に口呼吸になりやすくなります。口呼吸になると、舌が後ろへ落ち込みやすくなり、いびきにつながることがあります。

市販の鼻腔拡張テープで楽になる方もいますが、主な原因がのどや舌の落ち込みにある場合、効果は限定的です。いびきが長く続く場合や、呼吸が止まるように見える場合は、自己判断せず専門外来に相談しましょう。

なお、鼻の症状がいびきに関係しているかを見分けたい方は、鼻炎といびきの関係を整理した記事も確認してみてください。
👉 鼻炎によるいびきの原因・治療法を詳しく見る

30代・40代・50代・60代のいびき変化マップ

30代から60代以降までの加齢によるいびきの傾向と年代別対策を示した図

加齢によるいびきの出方は、年代によって少しずつ変わります。ただし、ここで紹介する内容はあくまで一般的な傾向です。同じ40代・50代でも、体型、飲酒習慣、鼻づまりの有無、睡眠時間、基礎疾患によっていびきの原因は異なります。

大切なのは、「何歳だから仕方ない」と決めつけるのではなく、自分の年代で起こりやすい変化を知り、早めに対策することです。特に、いびきが急に大きくなった場合や、睡眠中に呼吸が止まるように見える場合は、加齢だけでなく睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性も考える必要があります。

表は横にスクロールできます

年代起こりやすい変化いびきの特徴見直したい対策
30代体重増加、飲酒、睡眠不足、ストレス疲れた日や飲酒後に目立ちやすい睡眠時間の確保、飲酒量の見直し、体重管理
40代筋力低下、代謝低下、ホルモン変化の始まり以前より音が大きくなり、仰向けで悪化しやすい横向き寝、運動習慣、のど・舌の筋トレ
50代更年期、肥満、生活習慣病の影響急にいびきを指摘される、眠りが浅く感じる更年期症状の相談、体重管理、SASチェック
60代以降筋力低下、服薬、基礎疾患、SASリスク大きないびき、呼吸停止、日中の眠気を伴うことがある専門外来への相談、服薬内容の確認、安全な睡眠環境

30代:生活習慣と体重変化が重なり始める

30代でいびきをかくようになった場合、純粋な加齢だけが原因とは限りません。仕事や育児で睡眠時間が短くなったり、飲酒の機会が増えたり、運動量が減って体重が増えたりすることで、気道が狭くなりやすくなります。

男性では、内臓脂肪や首まわりの脂肪が増え始め、仰向けで寝たときに気道が圧迫されやすくなることがあります。女性では、妊娠・出産後の体重変化や睡眠不足が重なり、一時的にいびきが目立つケースもあります。

30代のいびきは、生活習慣を見直すことで改善の余地が大きい年代です。寝酒を控える、睡眠時間を確保する、体重の増加を放置しないなど、基本的な対策から始めることが重要です。

40代:筋力低下とホルモン変化が表れやすい

40代になると、のどや舌まわりの筋力低下、基礎代謝の低下、体重増加が少しずつ目立ち始めます。若い頃と同じ生活をしていても、体型が変わりやすくなり、首まわりに脂肪がつくことで気道が狭くなることがあります。

また、女性では閉経前のいわゆるプレ更年期に入り、ホルモンバランスの変化を感じる方もいます。男性でも、飲酒習慣、睡眠不足、運動不足が重なると、眠っている間にのどの筋肉がゆるみやすくなります。

「以前よりいびきの音が大きい」「仰向けで寝ると悪化する」「家族に指摘される回数が増えた」という場合は、40代特有の体の変化が関係している可能性があります。姿勢の工夫や運動習慣に加えて、のど・舌まわりを動かすセルフケアも取り入れやすい時期です。

50代:更年期・生活習慣病・肥満が重なりやすい

50代は、加齢によるいびきがはっきり表れやすい年代です。特に女性では、閉経前後にエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが変化し、のどまわりの筋肉の緊張や睡眠の質に影響することがあります。

更年期以降に「急にいびきをかくようになった」「家族から音が大きいと言われた」と感じる女性は少なくありません。ホットフラッシュや不眠などで睡眠が浅くなると、疲労感が残りやすく、いびきの悩みがより気になりやすくなります(参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の睡眠障害」)。

男性では、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が重なりやすくなります。
👉 糖尿病と睡眠の質の関係を詳しく見る

なお、いびきに加えて、日中の強い眠気や朝の頭痛がある場合は、単なる加齢ではなくSASが隠れている可能性もあるため注意が必要です。

60代以降:SASや服薬、基礎疾患にも注意が必要

60代以降は、のどや舌まわりの筋力低下、気道まわりの弾力低下がさらに進みやすい年代です。加えて、睡眠薬や一部の薬、飲酒、基礎疾患の影響が重なることで、いびきが強く出ることがあります。

年齢を重ねると眠りが浅くなり、夜中に目が覚める回数が増える方もいます。その背景にSASがある場合、睡眠中に呼吸が何度も止まり、体に負担がかかっている可能性があります。家族から「呼吸が止まっている」「苦しそうに寝ている」と言われた場合は、早めの相談が大切です。

また、脳卒中後の後遺症や神経・筋肉の働きの変化が、いびきや呼吸の乱れに関係することもあります。60代以降のいびきは「年齢のせい」と片づけず、日中の眠気、朝の頭痛、血圧の変化、服薬状況なども含めて確認しましょう。
👉 いびきと脳卒中(脳梗塞)の関係を見る

男女別に見る加齢いびき

男性と女性で異なる加齢によるいびきの原因を比較したイラスト

加齢によるいびきは、男性にも女性にも起こり得ます。ただし、悪化しやすい背景には少し違いがあります。男性では体重増加や飲酒、首まわりの脂肪が重なりやすく、女性では更年期以降のホルモン変化が関係することがあります。

一方で、男女どちらにも共通しているのは、加齢だけでなく生活習慣が重なるといびきが強くなりやすいという点です。ここでは、男性・女性それぞれに起こりやすい変化を整理しながら、加齢いびきへの向き合い方を解説します。

男性:体重増加・飲酒・首まわりの脂肪が影響しやすい

中高年男性のいびきでは、体重増加と飲酒習慣が大きく関係しやすい傾向があります。年齢を重ねると基礎代謝が落ち、若い頃と同じ食事量でも体重が増えやすくなります。特にあご下や首まわりに脂肪がつくと、睡眠中に気道が外側から圧迫され、いびきが出やすくなります。

また、アルコールはのどや舌まわりの筋肉をゆるめる作用があります。寝る直前に飲酒すると、眠っている間に舌が奥へ落ち込みやすくなり、空気の通り道が狭くなります。「飲んだ日だけいびきが大きい」「出張や会食の後に家族から指摘される」という方は、寝酒や深酒が悪化要因になっている可能性があります。

男性の場合、「昔からいびきをかいていたから」と放置されやすい点にも注意が必要です。音が大きくなった、呼吸が止まるように見える、日中の眠気が強いといった変化がある場合は、単なる加齢や体型の問題だけでなく、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れていないか確認することが大切です。

女性:更年期以降にいびきが増えることがある

女性のいびきは、「恥ずかしい」「人に相談しにくい」と感じられやすい悩みです。しかし、加齢によって女性もいびきをかくようになることがあります。特に更年期以降は、女性ホルモンの変化により、睡眠の質や気道まわりの状態が変わりやすくなります。

エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンは、体のさまざまな働きに関係しています。閉経前後にこれらのホルモンが変化すると、のどや舌まわりの筋肉がゆるみやすくなったり、眠りが浅くなったりすることがあります。その結果、「若い頃はいびきをかかなかったのに、50代になってから急に指摘された」というケースもあります。

また、更年期にはホットフラッシュ、寝汗、不眠、疲労感などが重なることもあります。睡眠が浅くなると体の回復感が得られにくくなり、日中のだるさや眠気、家族からのいびきの指摘につながることがあります。

女性特有のいびきの原因、治療の選び方まで詳しく知りたい方は、女性向けに整理したこちらの記事も参考になります。
👉 女性のいびき治療ガイドを見る

男女共通で重要なのは「加齢×生活習慣」の重なり

男性と女性では、いびきが悪化しやすい背景に違いがあります。しかし、実際には「加齢だけ」「ホルモンだけ」「体重だけ」と一つの原因で説明できるケースばかりではありません。多くの場合、筋力低下、体重増加、飲酒、睡眠不足、鼻づまり、運動不足などが複数重なって起こります。

そのため、加齢によるいびきを改善するには、まず自分に当てはまりそうな要因を一つずつ確認することが大切です。

たとえば、体重が増えている方は首まわりやあご下の脂肪、飲酒習慣がある方は寝る前のお酒、鼻づまりがある方は鼻呼吸のしづらさが、いびきに関係している可能性があります。女性では更年期症状、男性では生活習慣病の有無も確認したいポイントです。

加齢そのものを止めることはできませんが、いびきに関係する生活習慣や睡眠環境は見直せます。家族からいびきを指摘されたときは、「年齢のせい」と片づけず、どの要因が重なっているのかを整理することが、改善への第一歩になります。
👉 生活習慣の改善といびき対策のポイントはこちら

加齢によるいびきと睡眠時無呼吸症候群(SAS)の違い

加齢によるいびきと睡眠時無呼吸症候群SASの違いを見分ける睡眠中の男性のイラスト

加齢によるいびきは、のどや舌まわりの変化によって起こることがあります。ただし、いびきの中には睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れているケースもあるため、「年齢のせい」と自己判断するのは注意が必要です。

監修医
木村真聡

SASは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気です。大きないびきに加えて、日中の強い眠気、朝の頭痛、熟眠感のなさなどがある場合は、専門外来での相談を検討しましょう。

単純ないびきとSASの違いを比較表で確認

加齢による単純ないびきとSASは、どちらも「いびき」として現れるため、音だけで見分けるのは難しいことがあります。一方で、家族から「寝ている間に呼吸が止まっている」と言われた場合は、SASの可能性を考える必要があります。

項目加齢による単純ないびき睡眠時無呼吸症候群(SAS)
呼吸の状態いびき音はあるが、呼吸は続いていることが多い10秒以上の呼吸停止や浅い呼吸を繰り返すことがある
日中の眠気強くないことも多い会議中や運転中などに強い眠気が出ることがある
朝の状態大きな不調がない場合もある頭痛、口の乾き、疲れが取れない感覚が出ることがある
健康リスク原因によっては経過観察でよい場合もある高血圧や心血管疾患などと関連することがある

(参照:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」

受診を検討したい8つのチェックリスト

次の項目は、SASの可能性を考える目安です。あくまで自己診断ではなく、医療機関に相談するかどうかを判断するためのチェックとして確認してください。

  • 就寝中に呼吸が止まると家族やパートナーに言われたことがある
  • 目が覚めても疲れが取れていない感覚が週3回以上ある
  • 日中、突然強い眠気が来ることがある
  • 朝起きたときに頭痛がすることがよくある
  • 夜中に何度も目が覚めてトイレに行く
  • 朝、口の中が乾燥していることが多い
  • BMIが25以上である
  • 首まわりが太いと感じる、またはシャツの首元がきつくなった

3つ以上当てはまる場合は専門外来へ相談を

上記のチェックリストに3つ以上当てはまる場合は、SASの可能性を否定できません。特に、就寝中の呼吸停止を指摘されたことがある方、日中に強い眠気がある方、朝起きたときの頭痛や疲労感が続いている方は、睡眠中に十分な呼吸ができていない可能性があります。

また、高血圧を指摘されている方、体重増加や首まわりの太さが気になる方は、いびきが生活習慣病や体型変化と重なっていることもあります(参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群/SAS」)。加齢によるいびきだと思っていても、実際にはSASが隠れているケースもあるため、自己判断で放置しないことが大切です。

チェックリストは診断ではなく、あくまで受診を検討するための目安です。気になる項目が複数ある場合は、早めに睡眠専門外来や医療機関へ相談し、必要に応じて検査を受けましょう。

なお、SASの症状や検査の流れまで一通り確認したい方は、基礎知識をまとめた記事もあわせてご覧ください。
👉 無呼吸症候群の症状・原因・検査・治療法を詳しく見る

加齢いびきを軽くするセルフケア

加齢によるいびきを軽くする横向き寝や体重管理などのセルフケア方法

加齢によるいびきは、まずは気道が狭くなりにくい状態をつくるセルフケアから始めることが大切です。

ただし、睡眠中に呼吸が止まる、日中の眠気が強いといった症状がある場合は、セルフケアだけで様子を見るのはおすすめできません。睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は、医療機関での検査や相談を優先しましょう。

横向き寝で舌の落ち込みを防ぐ

仰向けで寝ると、重力の影響で舌の根元がのどの奥へ落ち込みやすくなります。加齢によって舌やのどまわりの筋力が低下していると、気道がさらに狭くなり、いびきが出やすくなることがあります。

横向き寝は、舌の落ち込みを防ぎ、気道を保ちやすくする方法の一つです。抱き枕を使う、背中側にクッションを置く、横向きで安定しやすい枕を選ぶなど、無理なく続けられる工夫を取り入れてみましょう。

背中にテニスボールを入れて仰向けになりにくくする方法もありますが、人によっては違和感や寝苦しさにつながることがあります。特に肩や腰に痛みがある方、高齢の方は、体に負担の少ない姿勢を優先してください。

寝る姿勢の見直しについては、今夜から取り入れやすい対策をまとめたこちらの記事も参考になります。
👉 いびきをかかない寝方と原因別対処法を見る

体重管理は首まわりの脂肪を意識する

体重が増えてからいびきを指摘されるようになった方は、首まわりやあご下の脂肪が関係している可能性があります。脂肪が気道を外側から圧迫すると、睡眠中に空気の通り道が狭くなり、いびきの音が大きくなりやすくなります。

体重管理は、見た目のためだけでなく、気道を圧迫しにくくするためにも重要です。急激な減量を目指す必要はありませんが、食事量、間食、飲酒量、運動不足を見直すことで、いびきの軽減につながる場合があります。

特に、加齢とともに基礎代謝が下がると、若い頃と同じ生活でも体重が増えやすくなります。肥満や生活習慣病がある方は、いびきだけでなくSASのリスクも高まりやすいため、無理のない範囲で体重管理を続けましょう。

肥満といびきの関係を詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
👉 いびきと肥満・健康リスクを解説

あいうべ体操・舌回し運動でのど周りを鍛える

加齢によるいびきでは、のどや舌まわりの筋肉を動かす習慣も大切です。筋肉のゆるみが関係している場合、口や舌をしっかり動かすトレーニングを続けることで、気道を支える力の維持につながる可能性があります。

代表的な方法が、福岡市の「みらいクリニック」今井一彰院長が考案した「あいうべ体操」です。次の4つの動作を1セットとして、ゆっくり大きく行います。

  1. 「あー」と口を大きく開く(普段より大きめに)
  2. 「いー」と口を横に大きく広げる(首に筋が張るくらいまで)
  3. 「うー」と唇を強く前に突き出す
  4. 「べー」と舌を突き出し、顎の先をなめるイメージで下へ伸ばす

食後に10セットずつ、1日合計30セットを目安として推奨していますが、最初から30セットが難しい場合は、無理のない回数から始め、少しずつ増やしていきましょう(参照:みらいクリニック公式「あいうべ体操」)。

また、舌回し運動も取り入れやすい方法です。口を閉じたまま、舌で歯ぐきの外側をなぞるように、右回り・左回りにそれぞれ10回ほど回します。舌や口まわりの筋肉を使うため、最初は疲れを感じることもあります。

舌を上あごにつけて唾を飲み込む練習や、「ラ・リ・ル・レ・ロ」とはっきり発音する練習も、舌やのどを動かす習慣になります。効果の出方には個人差がありますが、1〜3か月ほど継続して変化を確認しましょう。

トレーニングを継続する際のポイントや注意点を確認したい方は、舌トレーニングに特化した記事もご覧ください。
👉 いびきに効く舌トレーニングの方法を見る

なお、顎関節に痛みがある方や、口を大きく開けると違和感がある方は、無理をしないでください。

寝酒・睡眠薬・乾燥を見直す

寝る前のお酒は、いびきを悪化させる代表的な要因です。アルコールには筋肉をゆるめる作用があるため、のどや舌まわりがゆるみ、睡眠中に気道が狭くなりやすくなります。「飲んだ日だけいびきが大きい」という方は、就寝直前の飲酒を控えることから始めましょう。

睡眠薬を使用している方も注意が必要です。薬の種類によっては、筋肉のゆるみや呼吸の状態に影響することがあります。ただし、自己判断で中止すると不眠や体調不良につながることがあるため、いびきが気になる場合は処方した医師に相談してください。
👉 睡眠薬でいびきが悪化する理由と対策を見る

また、寝室の乾燥や鼻づまりもいびきに関係します。空気が乾燥すると、鼻やのどの粘膜が刺激され、口呼吸になりやすくなります。加湿器を使う、寝室の湿度を調整する、鼻づまりが続く場合は耳鼻咽喉科で相談するなど、呼吸しやすい睡眠環境を整えましょう。

セルフケアで改善しない加齢いびきの治療選択肢

セルフケアで改善しない加齢いびきに対するCPAP療法やマウスピース治療などの選択肢

横向き寝や体重管理、のど・舌のトレーニングを続けてもいびきが改善しない場合は、医療機関で原因を確認したうえで治療を検討することが大切です。加齢によるいびきに見えても、背景に睡眠時無呼吸症候群(SAS)や鼻・のどの構造的な問題が隠れていることがあります。

監修医
木村真聡

治療法は、いびきの原因やSASの有無、重症度、生活スタイルによって異なります。ここでは、代表的なCPAP療法、マウスピース治療、レーザー治療の特徴を整理します。

表は横にスクロールできます

治療法主な仕組み検討されるケース注意点
CPAP療法睡眠中に空気を送り、気道を開きやすくする中等度〜重症のSASなど毎晩の装着が必要で、医師の判断が必要
マウスピース治療下あごを前方に出し、気道を広げる軽症〜中等症のSAS、単純いびきなど歯や顎関節の状態によって合わない場合がある
レーザー治療のどや口蓋にアプローチし、振動を抑えやすくする単純いびき、軽症例など効果には個人差があり、SASの状態確認が重要

CPAP療法

CPAP療法は、睡眠中に専用の機器で空気を送り、気道を開きやすくする治療です。主に中等度から重症の睡眠時無呼吸症候群で検討されることが多く、呼吸の停止や低呼吸を減らす目的で行われます。

一方で、CPAPは単純ないびきだけを目的に誰でも使う治療ではありません。装置を毎晩装着する必要があり、保険適用の可否(※)も検査結果や医師の判断によって異なります。

日中の強い眠気や呼吸停止の指摘がある場合は、まず検査で状態を確認することが大切です。
👉 CPAP療法の効果と費用を詳しく見る

※2026年6月の診療報酬改定により、CPAP保険適用のAHI(無呼吸低呼吸指数)基準が緩和されました。精密検査(PSG)ではAHI 20以上→15以上、簡易検査ではAHI 40以上→30以上で保険適用の対象となります。以前は「基準に満たない」と判断された方も、現在の基準では対象となる可能性があります(参照:厚生労働省「令和8年度 診療報酬改定について」)。

マウスピース治療

マウスピース治療は、睡眠中に下あごを前方へ出すことで、舌の落ち込みを防ぎ、気道を広げやすくする方法です。軽症から中等症のSASや、単純いびきの一部で検討されることがあります。

装置が比較的小さく、出張や旅行時にも使いやすい点はメリットです。ただし、歯並び、歯周病、顎関節の状態によっては適さない場合があります。作製には歯科との連携が必要になることもあり、自己判断で市販品を長く使い続けるのではなく、医療機関で相談しましょう。
👉 いびき治療マウスピースの効果・費用・作り方を見る

レーザー治療

レーザー治療は、のどや口蓋にレーザーを照射し、いびきの音につながる振動を抑えやすくする治療です。メスを使う手術とは異なり、切開を伴わない方法として検討されることがあります。

特に、のどの奥のゆるみや軟口蓋の振動が関係する単純いびき、軽症のいびきでは選択肢の一つになります。ただし、重症のSASがある場合などは、レーザー治療だけでは適さないことがあります

治療を受ける前に、いびきの原因や無呼吸の有無を確認することが重要です。
👉 いびきレーザー治療の効果・向いている人を詳しく見る

スリープメディカルクリニックで相談できること

当院「スリープメディカルクリニック」では、セルフケアでは改善しにくいいびきに対して、状態に応じた治療選択肢をご案内しています。その一つとして、いびきレーザー治療「スノアレーズ」をご提供しています。

スノアレーズは、喉や口蓋にレーザーを照射し、喉の中を引き締めて気道を広げることで、いびきの改善を目指す自由診療の治療です。のどの奥のゆるみや軟口蓋の振動が関係するいびきで、治療選択肢の一つとして検討されることがあります。

スノアレーズには、次のような特徴があります。

  • メスを使わずレーザー照射で行うため、従来の手術に比べて痛みが少ない
  • 治療時間は約15分と短く、忙しい方でも受けやすい
  • 腫れや痛みがほとんどなく、治療後すぐに日常生活へ戻りやすい
  • 喉の表面部分へのアプローチのため、後遺症が残るリスクが少ない
  • 患者様一人ひとりの状態に合わせて、照射設定を調整する

当院は全国13拠点で展開しており、各院とも駅近立地です。土日に対応している院もあり、WEB予約にも対応しています。

セルフケアを続けてもいびきが改善しない方、家族からいびきを指摘されて不安な方は、まずはご自身の状態に合う治療選択肢についてご相談ください。

よくある質問

加齢によるいびきに関するよくある質問に医師が答えるイラスト

加齢によるいびきについては、「治るのか」「女性にも起こるのか」「病院に行くべきなのか」など、判断に迷いやすい疑問が多くあります。ここでは、よくある質問に回答します。

Q1. 加齢によるいびきは完全に治りますか?

加齢による筋力低下や気道まわりの組織変化を、若い頃の状態に完全に戻すことは難しい場合があります。

ただし、横向き寝、体重管理、のど・舌のトレーニング、飲酒習慣の見直し、医療機関での治療によって、いびきの軽減が期待できるケースはあります。

Q2. 女性も加齢でいびきをかくようになりますか?

女性も加齢によっていびきをかくようになることがあります。特に更年期以降は、女性ホルモンの変化により、のどや舌まわりの筋肉がゆるみやすくなったり、睡眠の質が変化したりすることがあります。

恥ずかしい症状ではないため、気になる場合は相談しましょう。

Q3. 30代でいびきをかくのは加齢のせいですか?

30代のいびきは、純粋な加齢よりも、飲酒、睡眠不足、体重増加、ストレスなどの生活習慣が関係していることが多いです。ただし、体の変化は少しずつ始まっているため、早めに睡眠時間や体重、寝る前の飲酒を見直すことが大切です。

Q4. 加齢いびきとSASの違いは何ですか?

加齢による単純ないびきは、音が出ていても呼吸が続いていることが多いです。一方、睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、睡眠中に10秒以上の呼吸停止や浅い呼吸を繰り返すことがあります。

日中の眠気や朝の頭痛がある場合は、医療機関での検査を検討しましょう。

Q5. 市販の鼻腔拡張テープは加齢いびきに効きますか?

鼻づまりや鼻の通りにくさが主な原因の場合、鼻腔拡張テープで呼吸が楽になることがあります。

ただし、加齢によるのどや舌の落ち込み、首まわりの脂肪が主な原因の場合は、効果が限定的なこともあります。続くいびきは原因を確認することが重要です。

Q6. のどの筋トレで加齢いびきは改善しますか?

個人差はありますが、のどや舌まわりの筋力低下が関係するいびきでは、あいうべ体操や舌回し運動などで軽減が期待できる場合があります。

すぐに変化が出るものではないため、無理のない範囲で1〜3か月ほど継続して様子を見ましょう。

Q7. 何科を受診すれば加齢いびきを相談できますか?

いびきは、睡眠専門外来、耳鼻咽喉科、呼吸器内科などで相談できます。睡眠中の呼吸停止、日中の強い眠気、朝の頭痛がある場合は、SASの検査が必要になることもあります。

Q8. 加齢いびきを放置するとどうなりますか?

単純ないびきであれば緊急性が高くない場合もありますが、SASが隠れていると高血圧や心血管疾患などのリスクに関係することがあります。

呼吸停止を指摘された方、日中の眠気が強い方、疲れが取れない方は、早めに専門外来へ相談しましょう。

まとめ|加齢によるいびきは「仕方ない」で終わらせない

加齢によるいびきを仕方ないと諦めず生活習慣の改善に取り組む女性のイラスト

いびきは、加齢によるのどや舌まわりの筋力低下、気道まわりの弾力低下、首まわりの脂肪、鼻呼吸のしづらさなどが重なることで増えやすくなります。

30代では生活習慣や体重変化、40代では筋力低下、50代では更年期や生活習慣病、60代以降ではSASや服薬、基礎疾患の影響にも注意が必要です。

ただし、加齢によるいびきは「年齢のせいだから仕方ない」と諦めるものではありません。横向き寝、体重管理、のど・舌のトレーニング、寝酒や乾燥対策など、今日から見直せることもあります。

一方で、睡眠中の呼吸停止、日中の強い眠気、朝の頭痛、疲れが取れない感覚がある場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れている可能性もあります。「受診を検討したいチェックリスト」で3つ以上当てはまる方や、家族から呼吸の異常を指摘された方は、自己判断せず専門外来へ相談しましょう。

監修医
木村真聡
監修医
木村真聡

大阪大学医学部を卒業後、大学病院や一般病院での臨床経験を経てレーザー治療を中心に専門性を磨き、日本レーザー医学会認定医1種や日本抗加齢医学会専門医の資格を取得。その豊富な実績が評価され、某大手クリニックで総院長を務めるなど、10年以上にわたり医療の最前線で活躍しています。また、著書『医師が教える最強のメンズ美容ハック』(幻冬舎)などを通じて、レーザー治療や健康管理に関する情報を積極的に発信。現在は、その長年の知見と技術力を活かし、いびきのレーザー治療クリニックを監修し、患者一人ひとりの悩みに寄り添った安全かつ効果的な治療を提供しています。

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