いびきに効く舌トレーニングの方法と舌根沈下への効果の実態
夜中に響く「ガーッ」という音、自分では気づきにくいけれど、一緒に眠る家族にとっては深刻な問題のいびき。
いびきの原因の多くは、眠っている間に喉の奥へ舌が落ち込む「舌根沈下」にあります。
本記事では、いびき解消に効果が期待できる簡単な舌トレーニング方法をご紹介。その具体的なやり方から、舌根沈下への効果の実態まで、詳しく解説していきます。
舌トレーニングで得られるいびきの改善効果
舌トレーニングとは、口の中の「舌」の筋肉を鍛えるトレーニングのことです。
毎日のように使っている腕や足の筋肉は、鍛えないと衰えていくものですが、>舌の筋肉も同様に、使わなければどんどん衰えてしまいます。
舌トレーニングの目的と効果
舌は、食事、会話、呼吸など、私たちが普段何気なく行っている動作に欠かせない存在です。
しかし、舌を構成する筋肉が弱ってしまうと、以下のような様々なトラブルを引き起こす可能性が出てきます。
- 食べ物が飲み込みにくくなる
- 発音が不明瞭になる
- 口呼吸になりやすくなる
- いびきをかきやすくなる
これらのトラブルを予防・改善するために、舌トレーニングが有効です。
舌トレーニングを行うことで期待できる効果
舌の筋肉が鍛えられることで、食べ物をスムーズに飲み込む力を強化します。
舌の動きが滑らかになることで、より明瞭な発音になります。
舌の位置が正しくなることで、自然と鼻呼吸がしやすくなります。
気道の広さが確保されやすくなるため、いびきの改善に繋がることがあります。
舌トレーニングの効果を裏付ける研究と知見
舌トレーニングの効果は、多くの研究によって裏付けられています。
実際に行われた舌圧抵抗トレーニングに関する研究があります。
健康な大人の方を対象とした舌圧抵抗トレーニングでは、8週間「Tongue-to-Palate Resistance Training (TPRT)」と呼ばれる舌の筋トレを行ったグループと、何もトレーニングを行わなかったグループとで、舌の筋力を比較しました。
TPRTを行ったグループは、トレーニングを行わなかったグループに比べて、舌の前側の筋力も奥側の筋力が明らかに増加した結果となりました。
舌トレーニングは単なる民間療法ではなく、科学的根拠に基づいた有効な方法と言えます。
普段はハンモックのように喉にぶら下がっている舌が、筋力低下により喉の奥に沈み込み、気道を狭くしてしまうことが、いびきをかく原因の一つです。
トレーニングによって舌の筋力が強化されると、舌が喉の奥に沈み込みにくくなるため、気道が広く保たれやすくなり、いびきの改善効果が期待できるのです。
舌トレーニングの効果には個人差がありますが、多くの場合、数週間から数ヶ月程度で実感できるケースが多いです。
しかし、効果を持続させ、いびきを根本的に改善するためには、毎日の継続が重要です。
毎日の歯磨きと同じように、舌トレーニングも生活習慣の一部として取り入れてみましょう。たとえ数分でも毎日続けることで、舌の筋肉は鍛えられ、いびきの改善に繋がっていきます。
舌トレーニングが舌根沈下の改善に繋がる理由
いびきは、空気の通り道となる気道が狭くなることで、その部分を空気が通るときに喉の周りの粘膜を振動させてしまうことで発生します。
舌根沈下があると気道が狭くなるため、いびきの原因となってしまいます。
舌は本来、上顎にぴったりとくっついているのが正しい位置ですが、寝ているときに筋肉が緩んでしまい、重力によってのどの方へ落ちてしまいます。
これが舌根沈下です。
舌の筋肉は、体中の筋肉と同じく鍛えることで強化することができます。
舌トレーニングを行うことで、正しい舌の位置を意識できるようになり、舌がのどの方に落ちにくくなります。
舌根沈下が改善すると、気道が広く保たれるようになり、いびきをかきにくくなります。
舌トレーニングは、いわば”舌の筋トレ”。 毎日コツコツと続けることで、舌の筋肉が鍛えられ、舌根沈下の改善効果が期待できます。
舌のトレーニングを毎日続けることで、舌根沈下やいびきの改善だけでなく、口呼吸の改善や顔のたるみ防止などの効果も期待できます。
舌トレーニングの種類と選び方
舌トレーニングには、様々な種類があり、それぞれ鍛えられる筋肉の部位や効果が異なります。
代表的な舌トレーニング
- 舌を上顎に押し付けるトレーニング
- 舌を前に突き出すトレーニング
- 舌を左右に動かすトレーニング
口を閉じたまま、舌全体を上顎にギューッと押し付けます。
このトレーニングで舌全体(特に舌骨上筋群)の筋肉が鍛えられます。このトレーニングをすることで、舌の筋力アップだけではなく、口蓋の筋力アップや唾液の分泌促進の効果が得られます。
まるで舌で上顎を吸盤のように吸い上げるイメージで行うと効果的です。
口を大きく開けて、舌をできるだけ前にベーッと突き出します。正確には前に出すのではなく、顎先に向かって下へ思い切り伸ばすような感じで行います。
茎突舌筋・舌骨舌筋など、複数の筋肉を鍛えることができます。このトレーニングによって舌の運動性向上、発音改善を図れます。
舌を限界まで出すように意識すると、より効果的に鍛えられます。
舌を口の中で左右に、まるで飴を舐めるように動かします。
このトレーニングでは、舌の側面部分を鍛えることができます。このトレーニングをすることで、舌の柔軟性向上、食べ物を効率的に噛み砕く力の向上ができます。
ポイントは、左右均等に動かすことで、バランスよく鍛えることです。
これらのトレーニングは、どれも特別な道具を必要とせず、いつでもどこでも簡単に行えるのが魅力です。
毎日、無理のない程度に続けることが、舌や全身の健康維持へと繋がります。
舌トレーニングの具体的な方法と注意するポイント
舌トレーニングは、自宅で簡単に行えるいびき対策として注目されています。特別な器具も必要なく、いつでもどこでも取り組めるのが魅力です。
しかし、自己流で行うと思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあります。
正しい方法をマスターして、効率的に効果を上げましょう。
舌トレーニングの具体的な方法と手順
舌トレーニングと聞いても、具体的に何をすればいいのかイメージできない方もいるかもしれません。
ここでは、基本的なトレーニング方法を2つの種類に分けてご紹介します。
舌も筋肉でできています。舌の筋力トレーニングとは、まるでスポーツジムで鍛錬するように、舌に負荷をかけて鍛える方法です。
舌の筋力トレーニングの手順
- 舌出し運動
舌を「あかんべー」をするように、思いっきり前に突き出します。
この時、舌の先端を顎先につけるように思い切り下に伸ばすように意識すると、より効果的に舌の筋肉を刺激することができます。
5秒間キープしたら、ゆっくりと舌を口の中に戻します。これを5~10回繰り返します。 - 舌上げ運動
舌先を上の歯茎の奥、少しへこんだ部分につけたまま、舌全体を上顎に押し付けるように力を入れます。まるで、口の中で天井を持ち上げるようなイメージです。
この状態を5秒間キープし、ゆっくりと力を抜きます。これを5〜10回繰り返します。 - 舌回し運動
口を閉じた状態で、舌を歯茎に沿ってぐるりと回します。舌先で歯の外側をなぞるように、大きくゆっくりと動かしましょう。右回り、左回りそれぞれ10回ずつ行います。
トレーニング中は、呼吸を止めずに自然な呼吸を心がけましょう。深くゆっくりと呼吸することで、リラックス効果も高まります。
無理に力を入れすぎると、顎関節症などを引き起こす可能性があります。痛みを感じる場合は無理せず休憩し、ご自身のペースで行いましょう。
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進する効果があります。日頃から運動をしている方だけでなく、デスクワークなどで長時間同じ体制を続けている方にもおすすめです。
舌ストレッチの手順
- 舌引っ張り
舌を清潔なガーゼやタオルで軽く包むようにして指でつまみ、ゆっくりと前方に伸ばします。まるで、飴玉をゆっくりと伸ばすようなイメージです。
10秒間キープし、これを5回繰り返します。 - 舌回しストレッチ
口を大きく開け、舌をゆっくりと大きく回します。舌先で円を描くように、時計回り、反時計回りそれぞれ5回ずつ行います。
ストレッチ中は、舌に痛みを感じない程度に、ゆっくりと行いましょう。毎日継続して行うことで、より効果を実感することができます。
舌トレーニングの効果を高めるコツとポイント
舌トレーニングの効果を最大限に引き出すためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
- 毎日少しずつ継続する
どんなトレーニングにも共通して言えることですが、特に舌トレーニングは、毎日続けることが重要です。1回に長時間集中的に行うよりも、短い時間でも毎日続ける方が効果的です。
毎日の歯磨きの後や、寝る前に習慣化してしまうのがおすすめです。 - 空いた時間を有効活用する
舌トレーニングは、場所を選ばずに手軽に行えるのも大きなメリットです。
通勤時間や入浴中、家事の合間など、ちょっとした空き時間を利用して、習慣的に行いましょう。
- 正しい姿勢で行う
猫背や前かがみの姿勢で行うと、舌の動きが制限され、効果が得られにくくなります。
背筋を伸ばして、顎を引いた正しい姿勢で行うように意識しましょう。 - 目標を明確にする
漠然と行うのではなく、「いびきを軽減したい」「滑舌をよくしたい」など、具体的な目標を設定することで、モチベーションを維持しやすくなります。
目標達成シートやカレンダーなどを活用するのも効果的です。
舌トレーニングは、健康な成人の舌の筋力を改善できることが、研究によって明らかになっています。
毎日コツコツと続けることで、いびきの改善や口腔機能の向上など、様々な効果が期待できます。
舌トレーニングのおすすめ商品と専門医
効果的な舌トレーニングを行うためには、自分に合ったトレーニンググッズを見つけたり、専門家のサポートを受けたりする必要になることもあります。
ここでは、おすすめの舌トレーニング商品やサービス、そして専門医の探し方について、具体的な例を交えながら詳しく解説していきます。
舌トレーニングに効果的な商品やサービスの紹介
舌トレーニングは特別な器具がなくても自宅で手軽に始められます。
しかし、より効果的に楽しく続けるためには、いくつかの便利な商品やサービスを活用するのもおすすめです。
実際には、器具を使用した舌トレーニングの方法と、アプリなどを用いて自身でトレーニングする方法があります。
特徴 | 舌の筋力強化に特化して作られており、小さなダンベルを舌で持ち上げるようにして使います。 中には負荷を調整できる商品もあります。 |
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費用 | 1,000円~5,000円程度のものが多いです。手軽に購入できる価格帯なのも魅力です。 |
メリット | 短時間で効率的に舌トレーニングを行うことができ、集中的に舌の筋肉を鍛えたい方に最適です。 |
デメリット | 口の中に異物を入れることに抵抗がある方や、顎関節症などがある方は、使用前に医師へ相談しましょう。 |
具体例として、舌トレーニングを行うための器具には、「舌筋トレーニング用のマウスピース」のような商品があります。
これは、シリコン製のマウスピースを口に含み、舌で押し上げることで、舌の筋肉を鍛える器具です。
特徴 | 舌トレーニング用のアプリを使用し、例を見ながら自身でトレーニングを行います。 毎日のトレーニング記録をグラフで確認した、目標達成度に応じてバッジを集められる機能があるアプリもあります。 |
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費用 | 無料のものから、月額数百円の有料のものまで、様々なアプリがあります。 |
メリット | 自分のペースで、ゲーム感覚で楽しく好きなときにトレーニングできます。 忙しい方でも、隙間時間を使って効率的に舌トレーニングに取り組めます。 |
デメリット | スマホアプリでは正しいやり方の紹介や運動のペースは示すことができますが、正しいフォームで運動できているかは自分で確認する必要があります。 |
例えば、「パタカラ」というアプリは、舌の動きをイラストで分かりやすく教えてくれ、発声チェックなどゲーム感覚で楽しみながらトレーニングできます。
医師や専門家の力を借りて舌トレーニングの指導を受ける方法
自己流で舌トレーニングを行うことも可能ですが、より効果的に、そして安全に続けるためには、専門家の指導を受けることがおすすめです。
特におすすめなのは、以下の3つの専門家です。
いびきや睡眠時無呼吸症候群の治療を得意とする医師は、舌や喉の構造に精通しており、舌トレーニングの適切な方法や注意点について、的確なアドバイスを受けることができます。
口腔内のスペシャリストである歯科医師は、舌や顎の位置、歯並びなど、口の中の構造を総合的に判断し、一人ひとりに最適な舌トレーニング方法を指導してくれます。
言語聴覚士は、発声や嚥下(飲み込み)に関する専門家です。舌の動かし方や、舌の筋肉を鍛えるトレーニング方法について、丁寧に指導してもらうことができます。
これらの専門家は、総合病院や大学病院などの大きな医療機関に所属している場合もあれば、個人のクリニックや施設で診療を行っている場合もあります。
インターネットで検索したり、地域の医療機関に問い合わせたりすることで、専門医を探すことができます。
最近ではオンライン診療に対応している医療機関も増えてきました。自宅にいながら専門医の診察を受けられるので、忙しい方にはおすすめです。
舌トレーニングは、いびきの原因となる舌根沈下を改善する効果が期待できます。
しかし、すでに重度のいびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合は、舌トレーニングだけで改善するのは難しいです。
特に喉いびきは、放置すると健康を損なうリスクもあるため、早めの医療機関への相談が必要です。
最近では、喉を切除するような負担の大きい手術ではなく、レーザー治療など身体への負担が少ない治療法があります。
自己判断で不安を抱え続けるのではなく、専門医の診断のもとで適切な治療や対策を検討しましょう。