コラム
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鼻いびきと喉いびきの違いとは?音の見分け方とそれぞれの解消法
いびきは、睡眠中のよくある症状ですが、その音は周囲の人にとって騒音となるだけでなく、実は健康上のリスクもはらんでいます。特に、いびきの種類によってその原因や危険性が異なるのです。
本記事では鼻いびきと喉いびきの違いを中心に、その原因や見分け方や治療法まで徹底的に解説していきます。
いびきが気になる方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
鼻いびきと喉いびきの音の違いと見分け方
「いびき」は、狭くなった気道を空気が通るときに、粘膜を振動させることで発生する音です。
体のなかでいびきが発生する場所は2箇所あり、鼻あるいは喉のどちらかから、呼吸に合わせていびきの原因となる振動が発生します。
これらは、鼻と喉のどちらの気道が狭くなるかで、「鼻いびき」なのか「喉いびき」なのかが異なります。
鼻いびき | 喉いびき | |
---|---|---|
音の特徴 | 「ズーズー」「フンフン」など比較的小さく高い音 | 「ガーガー」「ゴロゴロ」など大きくて荒い音 |
呼吸の状態 | 呼吸が止まることはほとんどない | 呼吸が止まることがある |
その他の症状 | 鼻づまり、口呼吸、口の渇き | 起床時の喉の渇き、日中の眠気、頭痛、集中力低下など |
鼻いびきと喉いびきの特徴や症状の違いは上記です。
鼻いびきは比較的、呼吸を吸う際にいびきが発生することが多く、喉いびきは呼吸を吸う・吐く際どちらも伴います。
いびきを解消する際、有効な手段はいびきが発生する箇所によって変わります。
喉いびきの場合はレーザー治療やCPAP療法などが有効となりますが、鼻いびきの場合はレーザー治療のほか、鼻腔拡張テープや点鼻薬などの方法があります。
どちらのタイプのいびきをかいているかを知り、適切な有効手段を絞ることが、いびき解消への第一歩です。
鼻いびき・喉いびきの具体的な症状と、それぞれの原因について詳しく解説します。
鼻いびきの特徴3つ
鼻いびきには、次のような特徴があります。
鼻いびきの特徴
- 比較的小さな音
- 鼻づまりを伴う
- 口呼吸になりやすい
鼻いびきは、空気の通り道である鼻腔が狭くなっているために発生する音であり、一般的には「ズーズー」「フンフン」といった比較的小さな音で、軽快な印象の音であることが多いです。
しかし、鼻づまりの程度がひどくなると、鼻腔がさらに狭くなり、空気の通りがより一層悪くなるため、いびきの音も大きくなることがあります。
鼻いびきの大きな特徴の一つとして、鼻づまりを伴うことが挙げられます。鼻腔の狭窄や閉塞によって鼻呼吸が困難になっているため、口で呼吸をすることが増えます。
鼻呼吸が困難な状態が続くと、自然と口呼吸をするようになります。口呼吸は、口の中が乾燥しやすくなるため、口臭や虫歯、歯周病のリスクを高めることにつながります。
また、喉の乾燥や痛み、風邪を引きやすくなるなど、様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
鼻いびきが発生する主な原因
鼻いびきは、文字通り鼻の気道が狭くなっているために起こります。
鼻いびきの主な原因としては、次のようなものがあります。
鼻いびきの原因
- 鼻中隔湾曲症
- 鼻腔ポリープ
- アレルギー性鼻炎
- 慢性副鼻腔炎
- 風邪
鼻中隔湾曲症は、鼻の左右を隔てる壁である鼻中隔が曲がっている状態を指します。
鼻中隔が曲がると、片方、あるいは両方の鼻腔が狭くなり、鼻呼吸がしづらくなります。
その結果、鼻づまりを感じやすくなったり、いびきをかきやすくなったりするほか、鼻が詰まることで副鼻腔炎を起こしやすくなることもあります。
鼻腔ポリープは、鼻の粘膜にできる良性腫瘍です。
アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などが原因で、鼻の粘膜に慢性的な炎症が起こることで発生しやすくなります。ポリープが大きくなると鼻腔を塞いでしまい、鼻づまりや嗅覚障害を引き起こします。
また、ポリープによって鼻腔内の空気の流れが悪くなることで、副鼻腔炎を併発することもあります。
アレルギー性鼻炎は、花粉やダニ、ハウスダストなどのアレルゲンが原因で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が出る病気です。
アレルギー反応によって鼻粘膜が腫れてしまうため、鼻腔が狭くなり、鼻づまりを感じます。
慢性副鼻腔炎は、鼻の周りの空洞である副鼻腔に炎症が3ヶ月以上続く病気です。
細菌やウイルス感染、アレルギーなどが原因で起こり、鼻づまり以外にも、膿のような鼻水、顔面痛、頭痛、嗅覚障害などの症状が現れることもあります。
慢性副鼻腔炎になると鼻粘膜が腫れて副鼻腔の開口部が狭くなるため、鼻づまりが慢性化しやすくなります。
いわゆる風邪(感冒)は、ウイルス感染によって引き起こされる病気です。
風邪を引くと、鼻の粘膜にも炎症が起こり、腫れによって鼻腔が狭くなり、鼻づまりが起こります。多くの場合、風邪の症状が治まると共に鼻づまりも改善しますが、鼻づまりが長引く場合は、他の病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。
喉いびきの特徴3つ
喉いびきには、次のような特徴があります。
喉いびきの特徴
- 大きくて荒い音
- 呼吸が止まることがある
- 起床時の喉の渇き
いびきは、喉の奥の気道が狭くなることで発生するため、「ガーガー」「ゴロゴロ」といった、大きくて荒い音が特徴です。
これは、狭くなった気道を空気が無理やり通過しようとするときに、粘膜が振動して大きな音を出すために起こります。
喉いびきがひどい場合、呼吸が一時的に止まってしまうことがあります。
これは、狭くなった気道が完全に閉塞してしまうことで起こり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を示唆しています。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気で、放置すると高血圧、心臓病、脳卒中などの深刻な合併症を引き起こす危険性があります。
喉いびきをかいている人は、鼻呼吸が困難になっていることが多く、口で呼吸をすることが多くなります。
口呼吸は、口の中の乾燥を招きやすく、朝起きたときに喉がカラカラに乾いていることがあります。
また、口呼吸は、細菌やウイルスが体内に侵入しやすくなるため、インフルエンザや風邪などの感染症にかかりやすくなる可能性もあります。
喉の渇きを防ぐためには、鼻呼吸を促すことが重要です。
喉いびきが発生する主な原因
喉いびきは、喉の奥の気道が狭くなることで発生します。肥満や加齢、扁桃腺の肥大などが原因で起こりやすく、鼻いびきよりも重症化する傾向があります。
喉いびきの主な原因は、次のようなものがあります。
喉いびきの原因
- 扁桃肥大
- アデノイド肥大
- 舌根沈下
- 肥満
- 顎が小さい
扁桃腺は、喉の奥の左右にあるリンパ組織で、細菌やウイルスから体を守る役割を担っています。
しかし、繰り返し感染を起こしたりすると、慢性的に肥大してしまうことがあります。
肥大した扁桃腺は、気道を狭くし、喉いびきの原因となります。
アデノイドは、鼻の奥、喉の入り口付近にあるリンパ組織です。
特に幼児期に肥大しやすく、成長と共に縮小するのが一般的ですが、大人になっても肥大したままの場合、喉いびきの原因となることがあります。
睡眠中は筋肉が弛緩するため、舌の付け根(舌根)が重力によって喉の奥に落ち込みやすくなります。
舌根沈下によって気道が狭くなると、空気の通りが悪くなり、喉いびきが発生します。
首周りや顎の下に脂肪が蓄積すると、気道が外側から圧迫され、狭くなります。
肥満は、舌根沈下を起こしやすくする要因にもなるため、喉いびきのリスクを高めます。
生まれつき顎が小さい人は、骨格的に気道が狭くなっているため、舌が喉の方に落ち込みやすく、喉いびきをかきやすい傾向があります。
顎が小さいことで、舌が収まるスペースが十分に確保されず、気道を圧迫しやすくなるためです。
鼻いびきと喉いびきは症状に違いがあるものの、睡眠時の症状を自分で確認することは困難です。
いびき治療専門のクリニックに受診し、自分のいびきの原因や種類は何なのかを診断してもらうことをおすすめします。
いびき治療専門クリニックを受診すれば、今後の適切な治療方針も医師と相談可能です。
鼻いびきと喉いびきを放置する危険性を解説
鼻いびきも喉いびきも、放置すると様々な体の不調につながる可能性があります。
鼻いびきを放置することの危険性
鼻いびきは喉いびきに比べて軽症と考えられがちですが、放置することで以下のような危険性があります。
鼻いびきの放置で伴うリスク
- 口呼吸による口内乾燥
- 喉いびきへの移行
鼻いびきによって鼻呼吸が困難になると、口呼吸をすることが増えます。
口呼吸は口の中を乾燥させやすく唾液による自浄作用が低下することで、細菌が繁殖しやすくなります。
その結果、虫歯や歯周病、口臭などの原因となる可能性があります。
鼻いびきを放置すると鼻腔の状態が悪化し、さらに鼻呼吸が困難になることがあります。
その結果、喉でいびきをかき始め、喉いびきへと移行してしまうことがあります。
喉いびきは、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めるため注意が必要です。
喉いびきを放置することの危険性
喉いびきは睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインである可能性があります。
SASは睡眠中に呼吸が何度も止まる病気で、自覚症状がない場合も多いですが、放置すると様々な合併症を引き起こす危険性があります。
喉いびきの放置で伴うリスク
- 循環器系疾患… 高血圧、心筋梗塞、脳卒中、不整脈など
- 代謝異常… 糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなど
- その他… 睡眠障害、うつ病、ED(勃起不全)、認知機能の低下など
喉いびきは、命に関わる病気の前兆かもしれません。
少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
鼻いびきと喉いびきはどちらも放置しておくと、体への影響が現れる危険性があります。
特に喉いびきは、睡眠時無呼吸症候群を併発している可能性もあります。
その場合心臓や血管に負担がかかりやすいことから、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる合併症も起こるリスクがあります。
症状がある場合はなるべく早く医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
鼻いびきと喉いびきをそれぞれ解消する方法
いびきの治療法は、その原因によって異なります。
自己流の対策で症状が悪化することもあるため、必ず専門医の診断のもと適切な治療法を選びましょう。
鼻いびきの解消方法
鼻いびきの治療は、鼻づまりの原因を取り除くことが基本となります。
鼻いびきの解消方法4つ
- 薬物療法
- 外科手術
- レーザー治療
- 鼻腔拡張テープ
アレルギー性鼻炎が原因で鼻づまりを起こしている場合は、抗ヒスタミン薬やステロイド薬などの点鼻薬が処方されます。
これらの薬は、鼻の炎症を抑え、鼻粘膜の腫れを軽減することで、鼻づまりを改善します。
鼻中隔湾曲症や鼻腔ポリープなど、薬物療法で十分な効果が得られない場合は、手術が検討されます。
鼻中隔湾曲症は鼻の左右を隔てる壁である鼻中隔が曲がっている状態で、生まれつき曲がっている場合や、外傷によって後天的に曲がる場合があります。
手術では曲がった鼻中隔を矯正することで、鼻の通りを改善します。
鼻腔ポリープの治療には、レーザーでポリープを焼灼する方法もあります。
レーザー治療は、従来の手術に比べて、出血が少なく、体への負担が少ないというメリットがあります。
日帰りでの治療も可能で、回復も比較的早いため、患者さんの負担が少ない治療法として注目されています。
鼻腔を広げて呼吸をしやすくするテープも市販されています。
薬や手術に抵抗がある方でも手軽に試せる方法として人気があります。
鼻腔拡張テープは、鼻の外側に貼り付けることで、鼻腔を物理的に広げ、鼻呼吸をしやすくする効果があります。
ただし、鼻腔拡張テープはあくまで一時的な対処法であり、根本的な治療にはなりません。
喉いびきの解消方法
喉いびきの治療は気道の閉塞を改善し、スムーズな呼吸をサポートする方法です。
原因や症状の程度に応じて、様々な治療法があります。
喉いびきの解消方法5つ
- 生活習慣の改善
- CPAP療法
- マウスピース
- 手術療法
- レーザー治療
肥満が原因で喉いびきをかいている場合は、減量指導が行われます。食生活の見直しや運動習慣を身につけることで、体重を減らし、気道の圧迫を軽減することで、喉いびきの改善が期待できます。
また、禁煙や飲酒制限も効果的です。喫煙は、気道の炎症を引き起こし、気道を狭くするため、禁煙することで、喉いびきが改善することがあります。
飲酒は、気道の筋肉を弛緩させ、気道が狭くなる原因となるため、飲酒を控えることで、喉いびきが改善することがあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された場合は、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)という治療法が行われます。
CPAPは、鼻に装着したマスクから空気を送り込み続けることで、気道を広げて閉塞を防ぐ治療法です。
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の治療に非常に効果的な治療法であり、多くの患者さんで症状の改善が見られます。
舌根沈下を防ぐために、オーダーメイドのマウスピースを装着する方法があります。
睡眠時に装着することで、舌が喉の奥に落ち込むのを防ぎ、気道を確保します。
マウスピースは、CPAP療法に比べて、手軽に使用できるというメリットがあり、軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群に有効とされています。
レーザー治療は、口蓋垂(喉ちんこ)が長くなっていたり、軟口蓋が厚くなっていたりすることで気道が狭くなり、喉いびきが発生している場合に有効な治療法です。
レーザーの熱エネルギーを用いて、口蓋垂や軟口蓋の組織を縮小させたり、引き締めたりすることで、気道を広げ、いびきの音を軽減します。
扁桃肥大やアデノイド肥大が著しく、気道の閉塞が大きい場合は、手術によって扁桃腺やアデノイドを切除し、気道を広げます。
手術は、他の治療法で効果が得られない場合や、 解剖学的な原因が明らかな場合に検討されます。
鼻いびきと喉いびき、実はその音が違うだけでなく、原因やリスクも大きく異なります。
比較的軽度な鼻いびきでも、適切なケアをせずに放置すると、辛い喉いびきへと進行したり、睡眠の質を下げてしまったりする可能性があります。
特に注意が必要なのは喉いびきです。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性も潜んでおり、放置すると高血圧、心筋梗塞、脳卒中といった深刻な病気を招く危険性さえあります。
喉いびきの場合、早い段階で治療を受けることで、重篤な合併症のリスクを減らすことにつながります。
喉を切除しないレーザー治療であれば、体への負担も少なく、1回約3万~9万円程度で治療を受けられるクリニックもあるためおすすめです。