【大人の快眠教室】どうしても寝つけないときはどうする?自然な眠気を引き出す過ごし方とNG行動
睡眠の悩みの一つが、寝つきの悪さです。布団に入ってもなかなか眠気が訪れず、気持ちは焦るばかり。そんなとき、何をすればスーッと入眠できるのか。日本栄養大学特任教授で、睡眠改善インストラクターの資格を持つ石川泰弘先生に、眠れない夜の適切な過ごし方と、やってしまいがちなNG行動について聞きました。

いしかわ・やすひろ 日本栄養大学特任教授 博士(スポーツ健康科学)。睡眠改善インストラクター、温泉入浴指導員の資格を持つ。株式会社バスクリンの広報責任者を経て、現在は日本栄養大学での講義や、睡眠・入浴によるリカバリーについて、全国で講演を行う。“お風呂教授”としてメディアでも活躍。著書に『1週間で勝手にぐっすり眠れる体になるすごい方法』(日本文芸社)など。
早く布団に入りすぎるとかえって眠れなくなる
「明日は朝が早い。起きられるかな」「大事な会議があるから早めに眠らないと」。そんな日に限って、布団に入っても眠れない……。こうした寝つきの悪さで焦った経験はありませんか。
実は、いつもより早い時間に布団に入ることが、かえって寝つきを悪くしてしまうことがあります。
私たちの体には体内リズムが備わっていて、普段眠っている時間の約2時間前がもっとも覚醒度が高くなります。その後、徐々にリラックスモードへ切り替わり、自然な眠気が訪れる仕組みになっています。
例えば、普段0時に寝る人が22時に布団へ入った場合、眠ろうとしても頭が冴えてしまい、「寝たいのに眠れない」という状態になってしまうのです。
その日だけ前倒ししようとしても、急に体内リズムを変えることはできません。翌朝早く起きなければならない日でも、できるだけいつもと同じ時間に布団へ入り、自然な眠気を待つほうが結果的に眠りやすくなります。
もちろん睡眠時間は少し短くなるかもしれません。しかし、日頃から十分な睡眠を確保できていれば、多少睡眠が短くなったとしても、翌日1日くらいはなんとか乗り切れる場合がほとんどです。
無理に早寝しようとせず、いつも決まった時間に布団に入り、普段通りの睡眠を目指しましょう。
30分以上眠れないなら、布団を離れて気持ちをリセット
布団に入ってから眠りにつくまでの時間は、10~20分程度が理想。30分~1時間、あるいはそれ以上たっても眠れない場合は、いったん布団から出ることをおすすめします。
ゴロゴロしながらねばっていると、脳が「布団=眠れない場所」と記憶してしまいます。眠れない時間を長く過ごすほど、本来心地よく眠るはずの場所にそのイメージが定着し、寝つきが悪くなる悪循環につながります。
布団を離れたら、リビングなど別の部屋へ移動し、暖色系の照明で薄暗い明るさにして過ごします。ソファや椅子に座り、お腹をふくらませる「腹式呼吸」や「力を入れてパッと抜く」リラックス法をやってみましょう。
「腹式呼吸」で心と体を落ち着かせる方法
【やり方】お腹に手を当てて鼻からゆっくり息を吸い、吸いこんだ空気をお腹に入れてふくらませます。次はお腹をへこませるようにゆっくり息を吐きます。吐くときは口からでも鼻からでもOK。「ゆっくり吸う→吐く」を7~8回繰り返します。

「力を入れてパッと抜く」リラックス方法
【やり方】全身に5秒ほどギュッと力を入れ、その後ストンと全身の力を抜きます。これを4〜5回ほど繰り返します。筋肉に力を入れて一気に脱力することで、体の緊張がほぐれてきます。

どちらも、布団の中で仰向けになったまま行っても構いません。
気持ちを切り替えるには、読書や音楽も効果的です。
読書でおすすめなのは、一度読んだことのある紙の漫画や本です。特に漫画は絵が多く、小説よりも気楽に読めるため、眠れない夜の読書にも向いています。ポイントは、先の展開を知っている作品を選ぶことです。
先の展開が読めないとドキドキ、ハラハラして脳が興奮モードに。一方でストーリーを知っている作品だと安心感があり、自然とリラックスできます。
音楽は、自分の心が落ち着く曲を選びます。たとえ好きなジャンルでもアップテンポな激しい曲だと目が覚めてしまいます。心地いいと感じる音楽を聴きながら、眠気が訪れるのを待ちましょう。
また、アロマの香りを利用する方法もあります。
音楽と同じように、自分が心地いいと思うアロマオイルを用意して、ティッシュやコットンに数滴垂らし、深呼吸をすると自然と気持ちが穏やかになってきます。
眠れないと感じたら、無理に布団の中でがんばるのではなく、こうした方法で心身ともにリラックスし、眠気が戻ってきたタイミングで再び布団へ戻ってみてください。
ブルーライトは覚醒モードに!寝つけない夜に避けたいNG行動
眠れないときに避けたいのが、スマホやパソコンなどのデジタル機器を見ることです。
夜になると、睡眠ホルモンの「メラトニン」の分泌が増え、自然な眠気が訪れます。しかし、スマホやパソコンから発せられるブルーライトはメラトニンの分泌を抑制。脳に「まだ昼間だ」と勘違いさせてしまいます。
もっとも注意したいのが、SNSのチェックです。
投稿を読んで感情が動いたり、「既読がついてしまった」と気になったりすると、再び活動モードに。ブルーライトだけでなく、心理的な刺激も覚醒につながってしまいます。
音楽を再生するために一瞬スマホを触る程度は問題ありませんが、そのままSNSを見始めてしまわないように注意しましょう。

また、「どうせ眠れないから」と掃除や料理などの家事を始めるのもあまりおすすめできません。明るい照明で目が覚めるだけでなく、作業に集中してさらに脳が活性化します。
翌日の荷物を準備するなど、薄暗い環境でもできる軽い作業にとどめましょう。
教えて石川先生!“寝つき”のギモンQ&A
Q.平日の睡眠不足を補うために土日は昼過ぎまでぐっすり寝ています。でも、日曜の夜になると決まって寝つけなくなります。(30代・女性)
A.休日に昼過ぎまで寝てしまうのは、平日の睡眠時間が不足している可能性があります。まずは平日に1日30分、毎日早寝をして睡眠時間をプラスしてください。理想は土日も平日と同じ時間に起きて活動すること。毎朝同じ時間に起きることで体内時計が正常に動きます。また、日中の活動量が増えると、体がほどよく疲れて夜はスムーズに寝つける、そんないいサイクルが生まれます。
Q.昔はすぐ眠れたのに、40代になってから布団に入って1時間以上眠れない日があります。年齢のせいでしょうか。(40代・男性)
A.加齢によって変化しやすいのは、寝つきよりも睡眠時間です。寝つきが悪い場合は、ほかの要因が考えられます。例えば、年齢とともに責任のある仕事を任される機会が増え、ストレスやプレッシャーから寝つきが悪くなるケースも少なくありません。休日には体を動かしたり、趣味を楽しんだりするなど、気分転換できる時間を持ちましょう。
Q.出張でビジネスホテルに泊まると、まったく寝つけずに朝を迎えてしまうことがあります。環境が変わっても眠れる方法はありますか。(30代・男性)
A.ホテルだとシャワーで済ませる人も多いと思いますが、快眠のためには入浴が大事。湯船に浸かることで深部体温が上がると、手足から熱が放散され、体温が下がるタイミングでスムーズに眠れます。コンビニで入浴剤を買うのもおすすめです。出張で疲れた心身をお風呂で癒やし、心地よい眠りにつなげましょう。
眠りで悩む人ほど、「明日の仕事に影響するかも」「遅刻したらどうしよう」と真面目に考えすぎてしまう傾向があります。
寝つきが悪くても「1日くらいなんとかなる」と、肩の力を抜いているほうが、自然と体がゆるみ、眠気が訪れやすくなります。
一方で、寝つきの悪さが何日も続き日常生活に支障をきたしている場合は、注意が必要です。その場合は我慢せず、早めに医療機関へ相談してください。
イラスト/中根ゆたか 取材・文/釼持陽子
寝つきが悪い、朝起きたときに疲労感がある、日中に眠くなってしまう。
これらの睡眠のお悩みには、寝ている間の「いびき」が関係している可能性もあります。不眠、疲れでお悩みの方は、いびき治療をすることで夜の睡眠や生活の質が向上するかもしれません。お悩みの方は、いびき治療専門クリニック『スリープメディカルクリニック』へご相談ください。
