いびきで起きないのは脳梗塞?119番の目安と見分け方
ご家族がいびきをかいたまま起きないとき、「疲れて深く眠っているだけ」と判断してよいのか、不安になる方は少なくありません。しかし、呼びかけても反応がない、呼吸が不規則などの場合は、脳梗塞を含む脳卒中や呼吸異常、意識障害が隠れている可能性があります。
⚠️【緊急確認】1つでも当てはまる場合は、今すぐ119番してください。
- 呼びかけても反応がない・目が開かない
- 呼吸が不規則、または途中で止まる
- 顔が歪んでいる、片側に傾いている
- 普段いびきをかかない人が突然いびきをかき始めた
- 唇や顔色が紫色・土気色に見える
脳卒中は、症状が突然あらわれることが多く、早く気づいて救急要請することが治療の可能性を広げます。特に脳梗塞では、発症からの時間が治療方針に関わるため、「少し様子を見よう」と判断してしまうことが大きなリスクになります。
この記事では、いびきをかいて起きないときに119番すべき目安、通常のいびきとの見分け方、脳卒中でいびき様呼吸が起こる理由、チェーンストークス呼吸の特徴、慢性的ないびきや睡眠時無呼吸症候群と脳梗塞リスクの関係を解説します。
なお、この記事は診断の代わりになるものではありません。目の前の方に反応がない、呼吸が乱れている、顔の歪みや片側の麻痺がある場合は、まず119番を優先してください。
いびきをかいて起きないときは119番?正しい対処法4ステップ

いびきをかいたまま起きない人を見つけたとき、最初に必要なのは「様子を見ること」ではなく、反応・呼吸・顔色を確認し、危険なサインがあれば救急要請につなげることです。
この章では、脳梗塞を含む脳卒中や呼吸異常が疑われる場面で、家族が取るべき行動を4つのステップで整理します。
STEP1|呼びかけ・呼吸・顔色を確認して119番する
いびきで起きない状態は、単なる熟睡だけでなく、意識障害や呼吸の異常が関係している場合があります。家庭で「脳梗塞かどうか」を確定することはできませんが、次のようなサインがある場合は、迷わず119番してください。
- 呼びかけても反応がない、または目を開けない
- 呼吸が不規則、途中で止まる、胸やお腹の動きが弱い
- 顔が歪んでいる、片側の手足に力が入らない
- ろれつが回らない、言葉が出ない、会話が成立しない
- 唇や顔色が紫色・土気色に見える
119番への電話では「いびきをかいたまま起きない」「呼吸が不規則」「顔が歪んでいる」など、見たままの状態を具体的に伝えます(参照:日本脳卒中協会「脳卒中の主な症状」)。
STEP2|発症時刻・最後に普段通りだった時刻を記録する
救急要請後は、「いつから様子がおかしいのか」を確認します。脳梗塞では、発症から治療開始までの時間が治療方針を左右します。
詰まった血管を再開通させる代表的な治療には、点滴で血栓を溶かすt-PA(rt-PA)静注療法は発症から4.5時間以内、カテーテルで血栓を取り除く機械的血栓回収療法は原則として発症から6時間以内(一定の条件下では最大24時間まで適応されることもあります)という時間制限があります(参照:日本脳卒中学会「静注血栓溶解(rt-PA)療法 適正治療指針」)。
少しでも早く治療を開始するほど、後遺症を減らせる可能性が高くなります。
ただし、就寝中の発症など発症時刻がはっきりしない場合も少なくありません。その場合、医療現場では「最後に普段通りだった時刻(最終健常確認時刻)」を発症時刻の基準とします。そのため、発症時刻が分からない場合でも、次のような時刻を可能な範囲で記録しておくことが重要です。
- 最後に普段通り話せた、受け答えできた時刻
- 就寝前に異常がなかった時刻
- 家族が最初に異変に気づいた時刻
メモは紙でもスマートフォンでも構いません。「何時何分に発見した」「何時ごろまでは会話できていた」と、分かる範囲で整理しましょう。
STEP3|回復体位で気道を確保して救急隊を待つ
意識がはっきりしない人は、舌が喉の奥に落ち込んだり、嘔吐したものを吸い込んだりする危険があります。呼吸があり、無理なく体を動かせる状況であれば、横向きに寝かせ、上側の膝を軽く曲げる回復体位をとらせると、気道を保ちやすくなります(参照:総務省消防庁「回復体位」)。
ただし、転落や外傷の可能性がある場合、無理に体を動かすのは避けてください。救急隊が到着するまでは、呼吸の有無、顔色、反応の変化を見守り、変化があれば119番の電話口や、到着した救急隊員に伝えます。
STEP4|お薬手帳・持病・服薬情報を準備する
救急車を待つ間に余裕があれば、お薬手帳、健康保険証、診察券、服用中の薬を準備します。特に、高血圧、糖尿病、心房細動、脂質異常症、過去の脳梗塞や心臓病の有無は、医療機関での判断に役立つことがあります。
抗凝固薬や抗血小板薬など、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる場合も、分かる範囲で伝えましょう。家族が薬の名前を正確に覚えていなくても、お薬手帳や薬の袋があれば確認しやすくなります。
やってはいけないこと|水を飲ませる・強く揺さぶる・自家用車で運ぶ
いびきをかいて起きない人を前にすると、焦って何かをしてあげたくなるかもしれませんが、状態によっては逆に危険につながる対応もあります。次のような行動は避けましょう。
◆水・食べ物・薬を口に入れない
いびきをかいて起きない人に、水や薬を飲ませるのは避けてください。意識が低下していると、飲み込む力が弱くなり、誤嚥につながるおそれがあります。
◆強く揺さぶったり、無理に起こしたりしない
転倒や状態悪化につながる可能性があります。
◆自家用車で急いで病院へ連れて行かない
救急車を呼ぶことに迷う方もいますが、脳卒中が疑われる場面では時間が治療の可能性に関わります。いびきをかいて起きない状態に、反応の低下や呼吸の乱れ、顔の歪みが重なっている場合は、自己判断で待たず、救急隊につなぐことを優先してください。
通常のいびきと脳梗塞が疑われる危険ないびきの見分け方【比較表】

いびきの音だけで、脳梗塞かどうかを判断することはできません。この章では、通常のいびきと危険ないびきを比較しながら、家族が確認すべきポイントを整理します。
見分けるポイントは「音」よりも反応・呼吸リズム・突然性
脳梗塞が疑われる場面で注意したいのは、「大きないびきだから危険」「静かないびきだから安全」といった音量だけの判断ではありません。
普段からいびきをかく人でも、呼びかけても起きない、呼吸の間隔が乱れている、顔の片側が下がっているなどの変化があれば、脳卒中や呼吸異常の可能性を考える必要があります。
また、普段はいびきをかかない人が急に大きないびきをかき始めた、寝ている最中に呼吸が止まるように見える、反応が明らかに鈍いという場合も、単なる睡眠中のいびきと区別して考える必要があります。
通常のいびきと危険ないびきの比較表
次の表は、通常のいびきと、脳梗塞などの脳卒中や呼吸異常が疑われる危険ないびきを見分けるための目安です。
| 観点 | 通常のいびき | 脳梗塞などが疑われる危険ないびき |
|---|---|---|
| リズム | 比較的規則的 | 不規則、波状に変化する |
| 音の質 | 低く一定している | 途中で止まる、痰が絡むように聞こえる |
| 呼吸停止 | ない、または短時間 | 数秒〜数十秒止まるように見えることがある |
| 呼びかけへの反応 | 声かけや刺激で起きることが多い | 反応が乏しい、目を開けない |
| 顔色・表情 | 普段と大きく変わらない | 顔の歪み、唇の紫色、土気色などがある |
| 発症パターン | 慢性的、以前から続いている | 突然始まった、今日から明らかに違う |
特に危険な3つのサイン
危険ないびきかどうかを判断するときは、細かな音の違いよりも、命に関わるサインを見落とさないことが重要です。特に次の3つは、脳卒中や重い呼吸異常を疑う目安になります。
- 呼びかけても起きない:強めに声をかけても目を開けない、会話ができない状態です。
- 呼吸が止まる・不規則になる:いびきが途中で止まり、胸やお腹の動きが弱くなる状態です。
- 顔の歪み・片側の麻痺がある:口角が片側だけ下がる、片腕だけ動きにくいなどの左右差がある状態です。
このようなサインがある場合、いびきが原因なのか、脳梗塞なのかを家族が判断する必要はありません。必要なのは早く医療につなげることです。
危険ないびきと脳卒中リスクの関係を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
👉 意識を失うほどのいびきは危険!脳卒中のリスクと改善法を専門家が徹底解説
普段からいびきをかく人でも安心できない理由
普段からいびきをかいている人の場合、「いつものこと」と考えてしまいやすい点に注意が必要です。慢性的ないびきがある人でも、普段のいびきとは別の問題が起きている可能性があります。
また、睡眠時無呼吸症候群がある人は、もともと睡眠中に呼吸が止まりやすいため、家族が異変に慣れてしまうことがあります。しかし、顔の歪み、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らない、強い意識低下を伴う場合は、睡眠時無呼吸だけで説明せず、脳卒中を疑って行動することが大切です。
いびきは身近な症状ですが、「起きない」「反応がない」「突然いつもと違う」という要素が重なると、緊急対応が必要なサインに変わります。迷ったときは、通常のいびきかどうかを見極めようとするより、119番へ相談する判断を優先しましょう。
脳梗塞などの脳卒中で「いびき様呼吸」「起きない」が起こる理由

いびきをかいたまま起きない状態は、単に眠りが深いだけとは限りません。脳梗塞を含む脳卒中では、意識を保つ働きや呼吸を調整する働きに影響が及び、いびき様呼吸(いびきようこきゅう/いびきのような呼吸音)や反応の低下が見られることがあります。
前章では、通常のいびきと危険ないびきの見分け方を整理しました。ここでは、なぜ脳卒中などで「いびき様呼吸」と「呼びかけても起きない状態」が同時に起こることがあるのかを、体の中で起こり得る変化に分けて解説します。
意識障害により覚醒反応が低下する
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、その先の脳細胞に酸素や栄養が届きにくくなる病気です。障害される場所や範囲によって症状は異なりますが、脳の働きが大きく低下すると、呼びかけに反応しにくい、目を開けない、会話ができないといった意識障害が起こることがあります。
通常の睡眠であれば、名前を呼ばれたり、肩を軽くたたかれたりすると目を覚ますことが多いでしょう。しかし、意識障害がある場合は、外からの刺激に対する反応そのものが弱くなります。
そのため、家族から見ると「いびきをかいて眠っているように見えるのに、なぜか起きない」という状態に見えることがあります。実際には深く眠っているのではなく、脳の働きが低下して覚醒しにくくなっている可能性があるのです。
舌根沈下により気道が狭くなる
意識が低下すると、舌や喉まわりの筋肉の緊張がゆるみやすくなります。特に仰向けの姿勢では、舌の付け根が喉の奥へ落ち込み、空気の通り道である気道が狭くなることがあります。これを舌根沈下といいます。
👉 舌根沈下について詳しくはこちら
気道が狭くなった状態で呼吸をすると、空気が通るときに喉の粘膜や周囲の組織が振動し、いびきのような音が生じます。つまり、脳卒中そのものが直接いびきの音を出しているというよりも、意識低下に伴って気道が狭くなり、結果としていびきのような呼吸音が出ることがあるという仕組みです。
通常のいびきも、喉まわりの空気の通り道が狭くなることで起こります。そのため、音だけを聞くと通常のいびきと似ていることがあります。しかし、背景に意識低下がある場合は、単なる睡眠中のいびきとは意味合いが異なります。
脳幹・延髄への影響で呼吸が乱れることがある
脳の中でも、脳幹や延髄は、呼吸、心拍、血圧、嚥下など、生命維持に深く関わる働きを担っています。脳梗塞や脳出血によってこの周辺が影響を受けると、呼吸のリズムや深さが乱れることがあります(参照:日本赤十字社「脳卒中」)。
たとえば、呼吸が大きくなったり小さくなったりする、しばらく止まったように見えて再び始まる、胸やお腹の動きが一定しないといった変化です。こうした呼吸の変化に、喉まわりの空気の通りにくさが重なると、いびきのような音として聞こえることがあります。
また、脳幹や延髄は意識の維持にも関係しています。そのため、この部分の働きに影響が出ると、呼吸の乱れと同時に、呼びかけへの反応が弱くなることがあります。
ただし、呼吸の乱れ方だけで、脳梗塞の部位や重症度を家庭で判断することはできません。ここで大切なのは、脳卒中などによって呼吸音や反応に変化が起こる仕組みを理解することです。
「深く寝ているだけ」と見分けにくい理由
いびきをかいて起きない状態が難しいのは、外見だけでは深い睡眠と意識障害の区別がつきにくいことです。特に夜間や早朝は、周囲の家族も寝ぼけていて判断が遅れやすく、「疲れて深く眠っているだけかもしれない」と考えてしまうことがあります。
通常の睡眠であれば、声をかける、肩を軽くたたく、照明をつけるなどの刺激で反応が見られることが多いでしょう。一方で、意識障害がある場合は、こうした刺激に対する反応が乏しくなり、呼吸リズムの変化などが重なって見られることがあります。
また、いびきという症状自体が身近なため、危険な変化として受け止めにくい点もあります。普段からいびきをかく人であれば、家族が「いつものいびき」と思ってしまうこともあるでしょう。
そのため、いびきの音だけで判断せず、呼びかけへの反応や呼吸の様子、顔色などをあわせて確認することが大切です。
チェーンストークス呼吸とは?脳卒中・心不全などで見られる波状の呼吸

チェーンストークス呼吸は、呼吸が大きくなったり小さくなったりしながら、途中で無呼吸または浅い呼吸を挟む特徴的な呼吸パターンです。いびきのような音を伴うこともあり、家族から見ると「大きないびきのあとに呼吸が止まるように見える」と感じることがあります。
大きい呼吸から小さい呼吸へ変化し、止まるように見える呼吸
チェーンストークス呼吸は、数十秒程度の無呼吸(または非常に浅い呼吸)から始まり、その後だんだん呼吸が大きく深くなり、ピークを過ぎると再び小さくなって、また無呼吸に戻る周期的な呼吸です。
流れとしては、次のように変化します。
無呼吸(10〜20秒程度)または浅い呼吸 → 少しずつ呼吸が始まる → だんだん大きく深い呼吸 → だんだん小さく浅い呼吸 → 再び無呼吸
このサイクルは、おおむね30秒〜2分程度(30〜120秒)の周期で繰り返されることが多く(出典:日本救急医学会「チェーン・ストークス呼吸」)、無呼吸の時間、呼吸が大きくなる時間、小さくなる時間が波のように変化する点が特徴です。周期の長さは状態によって異なります。
また、この呼吸は、脳卒中、心不全、低酸素状態、呼吸中枢に影響する病気などで見られることがあります。つまり、脳梗塞だけの特有のサインではありません。
だからこそ、「チェーンストークス呼吸らしいから脳梗塞だ」と決めつけるのではなく、脳や心臓、呼吸の働きに異常が起きている可能性を示す呼吸の変化として受け止めることが大切です。
音の特徴|「ズゴー…ズゴー…止まる…また始まる」
チェーンストークス呼吸では、呼吸が大きくなるタイミングで「ズゴー」「ゴー」といったいびきの様な音が目立つことがあります。その後、呼吸が小さくなるにつれて音も弱くなり、数秒間静かになるため、「息が止まったのでは」と感じることがあります。
ただし、実際の音は体格、寝姿勢、口呼吸の有無、痰の絡みやすさ、もともとのいびきの強さによって変わります。音の表現だけで見分けるのは難しいため、呼びかけへの反応、顔色、胸やお腹の動き、呼吸が止まるように見える時間を合わせて確認してください。
睡眠時無呼吸症候群との違い
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が狭くなったり塞がったりして、無呼吸や低呼吸を繰り返す病気です。多くは慢性的に続く大きないびき、睡眠中の無呼吸、日中の眠気、朝の頭痛などをきっかけに気づかれることがあります。
睡眠時無呼吸症候群の症状やセルフチェックについては、以下の記事で詳しく解説しています。
👉 睡眠時無呼吸症候群の症状とは?セルフチェックや検査の方法
一方、チェーンストークス呼吸は、呼吸の深さが波のように変化する周期性が目立ちます。睡眠時無呼吸症候群でも呼吸が止まることはありますが、チェーンストークス呼吸では「大きくなる、弱くなる、止まる、また大きくなる」という流れが繰り返される点が特徴です。
この呼吸を見たらどうするべきか
チェーンストークス呼吸のように、呼吸が大きくなったり小さくなったりし、途中で止まるように見える場合は、脳卒中、心不全、低酸素などの重い状態が関係している可能性があります。
前章で紹介した危険サインと重なる部分がありますが、次のような状態が見られる場合は、緊急性が高いと考えてください。
- 呼びかけても起きない、目を開けない
- 呼吸が波状に変化し、途中で止まるように見える
- 顔の歪み、片側の手足の動かしにくさ、ろれつの異常がある
このような状態では、呼吸の名前を正確に判断する必要はありません。家族が行うべきことは、119番へ連絡し、いつから異常があるのか、呼吸がどのように変化しているのか、反応があるのかを救急隊に伝えることです。
チェーンストークス呼吸の特徴や見分け方を詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
👉 チェーンストークス呼吸の特徴・見分け方を詳しく見る
慢性的ないびき・睡眠時無呼吸症候群が脳梗塞リスクと関係する理由

慢性的ないびきや睡眠時無呼吸症候群が、すぐに脳梗塞を引き起こすわけではありません。しかし、睡眠中の低酸素や血圧変動が繰り返されることで、血管や心臓に負担がかかり、脳梗塞を含む脳卒中リスクと関係することがあります。
ここでは、慢性的ないびきと脳梗塞リスクの関係を、睡眠時無呼吸症候群の仕組みから整理します。
睡眠時無呼吸症候群が血管に負担をかける仕組み
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に気道が狭くなったり塞がったりして、呼吸が何度も止まる、または浅くなります。そのたびに体内の酸素が低下し、脳や心臓、血管に負担がかかります。
低酸素状態が繰り返されると、血圧が変動しやすくなり、体を緊張状態にする交感神経も活発になりやすいと考えられています。夜間も体が休まりにくくなることで、高血圧や血管への負担につながる可能性があります。
また、睡眠時無呼吸症候群は、脳卒中リスクの上昇や脳卒中後の再発・回復への影響と関連することが報告されています。ただし、「いびきをかく人は必ず脳梗塞になる」という意味ではありません(参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群 / SAS」)。
大切なのは、慢性的ないびきの背景に無呼吸が隠れていないかを確認し、必要に応じて治療につなげることです。
睡眠時無呼吸症候群の原因・検査・治療法をまとめて確認したい方は、以下の記事も参考になります。
👉 無呼吸症候群とは?症状・原因・検査・治療法を医師監修で解説
「睡眠時無呼吸症候群→脳梗塞」と「脳卒中→いびき様呼吸」の2方向で整理する
いびきと脳梗塞の関係が分かりにくい理由は、原因と結果の流れが2方向あるためです。整理すると、次のようになります。
【1つ目】
睡眠時無呼吸症候群 → 低酸素や血圧変動 → 血管への負担 → 脳梗塞を含む脳卒中リスクとの関連
1つ目は、睡眠時無呼吸症候群によって睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりし、低酸素や血圧変動が繰り返される流れです。その結果、血管や心臓に負担がかかり、脳梗塞を含む脳卒中リスクと関係することがあります。これは、普段から続くいびきや無呼吸が問題になるケースです。
【2つ目】
脳梗塞などの脳卒中 → 意識障害・舌根沈下・呼吸リズムの乱れ → いびき様呼吸
2つ目は、反対方向の流れで考えます。脳梗塞などの脳卒中が起こった結果、意識障害や舌根沈下、呼吸リズムの乱れが生じ、いびき様呼吸になる流れです。この場合は、普段からのいびきというよりも、突然の反応低下や呼吸の異常を伴う点が重要です。
つまり、日常的ないびきや無呼吸は「将来のリスクを減らすために検査・治療を考えるもの」、突然のいびき様呼吸と意識低下は「今すぐ命を守るために救急要請を考えるもの」と整理すると分かりやすくなります。
睡眠検査や専門相談を検討した方がよいサイン
慢性的ないびきがある場合でも、すべての人に同じ治療が必要なわけではありません。ただし、次のようなサインがある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を確認するために、睡眠検査や専門相談を検討しましょう。
- 家族やパートナーから、睡眠中に呼吸が止まると指摘された
- 大きないびきが毎晩のように続いている
- 日中の眠気が強く、仕事中や運転中に眠くなる
- 朝起きたときに頭痛、口の渇き、熟睡感のなさがある
- 高血圧、肥満、糖尿病、心房細動などを指摘されている
これらに当てはまる場合、いびきの音を小さくすることだけでなく、睡眠中の呼吸状態を確認する視点が重要です。必要に応じて、CPAP療法、マウスピース、生活習慣の見直しなどを検討します。
専門相談を検討する段階では、どのような治療法があるのかを事前に知っておくと、受診時に相談したい内容を整理しやすくなります。いびき治療の主な種類や選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
👉 いびき治療の種類・特徴・選び方を詳しく見る
慢性的ないびきに悩む方へ|スノアレーズという治療選択肢
慢性的ないびきにお悩みの方に向けて、当院スリープメディカルクリニックでは、いびきレーザー治療「スノアレーズ」をご用意しています。
スノアレーズは自由診療の治療で、喉や口蓋にレーザーを照射し、喉の中を引き締めて気道を広げることで、いびきの改善を目指す医療レーザー治療です。
スノアレーズには、次のような特徴があります。
- 痛みが少ない:メスを使わず、レーザー照射のみで治療を行うため、従来の切除を伴う治療に比べて負担を抑えやすい治療です。
- 短時間の施術:照射時間は1回あたり約15分で、忙しい方でも治療を検討しやすい点が特徴です。
- ダウンタイムがほぼない:腫れや痛みを抑えやすく、治療後すぐに日常生活へ戻りやすい治療です。
- 身体へのリスクを抑えやすい:喉の一部を切除しないため、従来の手術に比べて身体への負担を抑えやすい方法です。
- オーダーメイド治療:患者様一人ひとりの状態に合わせて照射設定を調整します。
スリープメディカルクリニックは、いびき治療専門クリニックとして、2026年時点で全国13拠点を展開しています。各院は駅近立地を中心に、土日対応の院やWEB予約にも対応し、忙しい方でも相談しやすい体制を整えています。
ただし、いびきをかいて起きない、呼びかけに反応しない、呼吸が不規則、顔の歪みがある場合は、いびき治療の相談ではなく、まず119番が必要です。
スノアレーズは、緊急時の治療ではなく、慢性的ないびきの改善を目指すための選択肢としてご相談ください。
高血圧・高齢・肥満など脳梗塞リスクに注意したい人

脳梗塞は、ある日突然起こる病気ですが、背景には高血圧、糖尿病、肥満、心房細動、喫煙習慣などのリスク要因が関係していることがあります。慢性的ないびきや睡眠時無呼吸症候群の疑いがある人は、これらのリスクと重なることで、より注意が必要です。
この章では、家族で確認しておきたいリスク要因と日常のサインを整理します。
注意したい人のチェックリスト
次の項目に複数当てはまる場合は、脳梗塞を含む脳卒中リスクや睡眠中の呼吸状態について、日頃から意識しておくことが大切です。
- 高血圧を指摘されている、または降圧薬を服用している
- 糖尿病、または血糖値の異常を指摘されている
- 心房細動などの不整脈を指摘されたことがある
- 肥満傾向がある、首まわりや腹部に脂肪がつきやすい
- 70歳以上、または高齢の家族である
- 喫煙習慣がある、または過去に長く喫煙していた
すぐに病気と決めつける必要はありませんが、慢性的ないびきや無呼吸もある場合は、睡眠検査や生活習慣の見直しを検討しましょう。
高血圧・糖尿病・心房細動がある人は特に注意
高血圧は、血管に強い負担をかけ続ける代表的なリスク要因です。血圧が高い状態が続くと、血管の壁が傷つきやすくなり、動脈硬化が進みやすくなります。動脈硬化は脳の血管にも影響し、脳梗塞や脳出血のリスクと関係します。
糖尿病も、血管を傷つけやすい病気の一つです。血糖値が高い状態が続くと、細い血管だけでなく太い血管にも負担がかかり、脳や心臓の血管トラブルにつながることがあります。
心房細動は、心臓の拍動が不規則になる不整脈です。心臓の中で血液がよどみやすくなり、血のかたまりができると、それが脳の血管に流れて脳梗塞を起こすことがあります(参照:日本脳卒中協会「心房細動による脳卒中を予防するプロジェクト」)。
これらのリスク要因にいびきや睡眠時無呼吸症候群が重なると、夜間の低酸素や血圧変動によって、さらに体への負担が増える可能性があります。
家族が確認しておきたい日常のサイン
脳梗塞の予防や早期対応では、本人だけでなく家族が日常の変化に気づくことも大切です。特に、睡眠中のいびきや無呼吸は本人が自覚しにくいため、家族やパートナーからの指摘が受診のきっかけになることがあります。
- いびきが以前より大きくなった、または毎晩続いている
- 睡眠中に呼吸が止まる、むせる、苦しそうにすることがある
- 朝起きたときに頭痛、口の渇き、熟睡感のなさを訴える
- 日中の眠気が強く、仕事中や運転中に眠くなる
- 血圧が高い状態が続いている、服薬や通院が途切れがちである
- 急にろれつが回らない、片側の手足が動かしにくいことがある
日常的ないびきや眠気は、すぐに命に関わる症状とは限りません。しかし、高血圧や糖尿病などのリスク要因がある人では、睡眠中の呼吸状態を見直すことが、将来の健康管理につながります。
脳梗塞後にいびきが増える理由と回復期の対応

脳梗塞の治療後や退院後に、「以前よりいびきが大きくなった」「寝ているときに息が止まるように見える」と家族が気づくことがあります。脳梗塞後のいびきには、麻痺や筋緊張の変化、寝姿勢の変化、睡眠時無呼吸症候群などが関係している場合があります。
この章では、回復期や在宅療養中に確認したいポイントと、主治医へ相談すべきタイミングを整理します。
脳梗塞後に新たにいびきが出ることがある理由
脳梗塞後にいびきが目立つようになる背景には、いくつかの要因があります。たとえば、麻痺や筋緊張の変化によって口や喉まわりの筋肉がうまく働きにくくなると、睡眠中に気道が狭くなり、いびきが出やすくなることがあります。
また、発症後は寝返りが減ったり、仰向けで寝る時間が長くなったりすることがあります。仰向けでは舌の付け根が喉の奥へ落ち込みやすく、空気の通り道が狭くなるため、いびきや無呼吸が目立ちやすくなります。
さらに、脳梗塞の前から睡眠時無呼吸症候群があったものの、発症後に家族が睡眠を見守る機会が増え、初めて気づくケースもあります。「脳梗塞の後遺症」と決めつけず、発症前からあったいびきなのか、発症後に変化したのかを整理することが大切です。
回復期に確認したい無呼吸・眠気・夜間覚醒
退院後やリハビリ中は、日中の動作や言葉の回復に目が向きやすい一方で、睡眠中の呼吸は見落とされがちです。いびきだけでなく、以下のようなサインがないか確認しましょう。
- 睡眠中に呼吸が止まる、または苦しそうに息を再開する
- いびきが急に大きくなった、以前より途切れやすくなった
- 夜間に何度も目が覚める、トイレの回数が増えた
- 朝起きても疲れが残る、日中の眠気が強い
- リハビリ中に集中力が続きにくい、ぼんやりすることが増えた
こうした変化が続く場合、睡眠の質が十分に保てていない可能性があります。睡眠時無呼吸は、脳卒中後にも比較的多く見られることが報告されているため、気になる症状があれば主治医や睡眠医療の専門機関に相談しましょう。
主治医に相談したい治療・対策
脳梗塞後にいびきや無呼吸が気になる場合、まずは脳梗塞を診ている主治医へ相談することが基本です。病状、内服薬、麻痺の程度、嚥下機能、心臓の病気の有無によって、適した検査や対策が変わるためです。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、簡易検査や精密検査で睡眠中の呼吸状態を調べます。結果によっては、CPAP療法、マウスピース、体位療法、体重管理、口腔機能や嚥下機能のリハビリなどが検討されます。
いびきが増えたからといって、すべてが危険な後遺症というわけではありません。しかし、無呼吸、強い眠気、朝の頭痛、夜間の息苦しさが続く場合は、回復期の健康管理の一部として睡眠を見直しましょう。脳梗塞後のいびきは、我慢するものではなく、主治医と一緒に原因を確認していくサインです。
脳梗塞といびきに関するよくある質問

ここでは、「いびきをかいて起きない」「脳梗塞が疑われるいびきの音が知りたい」といった疑問に回答します。緊急性がある場合は、FAQを読み進めるよりも先に119番してください。
Q1. いびきをかいて起きない家族がいます。脳梗塞ですか?
いびきをかいて起きないだけで、脳梗塞と断定することはできません。ただし、呼びかけても反応がない、呼吸が不規則、顔の歪みがあったり顔色が悪い場合は、脳梗塞を含む脳卒中や呼吸異常の可能性があります。
家庭で原因を見分けようとして時間をかける必要はありません。いつもと明らかに違うと感じる場合は、迷わず119番してください。
Q2. 脳梗塞が疑われるいびきはどんな音ですか?
脳梗塞が疑われる場面では、いびきの音そのものよりも、呼吸のリズムや反応の有無が重要です。たとえば、いびきが途中で止まる、呼吸が大きくなったり小さくなったりする、痰が絡むように聞こえる場合は注意が必要です。
ただし、音だけで危険かどうかを判断することはできません。呼びかけても起きない、唇が紫色に見える、顔が歪んでいるなどのサインがあれば、音の種類にかかわらず救急要請を優先しましょう。
Q3. チェーンストークス呼吸とは何ですか?
チェーンストークス呼吸とは、呼吸が徐々に大きくなり、その後小さくなって、無呼吸または浅い呼吸を挟み、再び大きな呼吸に戻る周期的な呼吸です。波のように変化するため、そばで見ている家族には「息が止まる時間がある」と感じられることがあります。
脳卒中や心不全、低酸素状態などで見られることがありますが、脳梗塞だけに特有の呼吸ではありません。
Q4. 脳梗塞でいびきが突然始まるのはなぜですか?
脳梗塞などの脳卒中で意識状態が低下すると、舌や喉まわりの筋肉の緊張がゆるみ、空気の通り道が狭くなることがあります。その結果、喉の組織が振動し、いびきのような音が出ることがあります。
また、脳幹や延髄など呼吸の調整に関わる部分に影響が及ぶと、呼吸リズムが乱れることもあります。突然のいびきに反応低下や麻痺が重なる場合は、深い眠りではなく意識障害の可能性を考えます。
Q5. いびきをかいて起きない場合、救急車を呼ぶ目安は?
呼びかけても起きない、呼吸が不規則、顔が歪んでいる、片側の手足に力が入らない、ろれつが回らない、唇や顔色が悪い場合は、救急車を呼ぶ目安になります。1つでも当てはまる場合は、119番してください。
救急車を呼ぶか迷ったときは、「寝ているだけかもしれない」と考えるより、危険な状態を見逃さないことが大切です。脳卒中では発症からの時間が治療方針に関わるため、様子見で時間を失わないようにしましょう。
Q6. 普段からいびきをかく人でも脳梗塞の場合がありますか?
あります。普段からいびきをかく人でも、いつもと違う状態が急に出た場合は注意が必要です。
慢性的ないびきがある人ほど、家族が異変に慣れてしまうことがあります。「いつものいびき」と決めつけず、反応、呼吸、顔色、手足の動きを確認してください。
Q7. いびきをかく人は脳梗塞になりやすいですか?
いびきだけで脳梗塞になりやすいとは言い切れません。ただし、慢性的ないびきの背景に睡眠時無呼吸症候群がある場合は、夜間の低酸素や血圧変動によって、脳や心臓、血管に負担がかかる可能性があります。
大きないびき、睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気、朝の頭痛、高血圧がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の検査を検討しましょう。いびきは音の問題だけでなく、睡眠中の呼吸状態を確認するきっかけになります。
寝起きの頭痛が気になる方は、以下の記事も参考にしてください。
👉 寝起きの頭痛は危険なサインかも?原因と緊急度チェック、治し方を解説
Q8. 脳梗塞後にいびきが増えました。なぜですか?
脳梗塞後にいびきが増える背景には、麻痺や筋緊張の変化、寝返りの減少、仰向けで寝る時間の増加、嚥下や口腔機能の変化などが関係することがあります。また、もともとあった睡眠時無呼吸症候群に、発症後初めて家族が気づく場合もあります。
いびきに加えて無呼吸、日中の眠気、朝の頭痛、夜間の息苦しさがある場合は、主治医に相談してください。脳梗塞後の生活管理の一部として、睡眠中の呼吸を確認することが大切です。
Q9. 子どものいびきでも脳梗塞を心配すべきですか?
子どものいびきで、最初から脳梗塞を疑うケースは多くありません。子どもでは、扁桃やアデノイドの肥大、鼻づまり、アレルギーなどがいびきの原因になることがあります。
ただし、呼吸が止まる、顔色が悪い、呼びかけても反応がない、けいれんしている、急に片側の手足を動かしにくそうにしている場合は別です。年齢にかかわらず、意識や呼吸に異常がある場合は救急相談や119番を検討してください。
Q10. 睡眠時無呼吸症候群を治療すると脳梗塞リスクは下がりますか?
睡眠時無呼吸症候群の治療によって、夜間の低酸素や血圧変動が改善し、心臓や血管への負担を減らせる可能性があります。CPAP療法などが検討されることもありますが、治療の必要性や方法は、検査結果や全身状態によって変わります。
👉 CPAP(シーパップ)療法についてはこちら
「治療すれば脳梗塞を必ず防げる」とは言えません。しかし、睡眠時無呼吸症候群を放置しないことは、血圧管理や生活習慣の見直しと同じく、将来の健康管理において重要な視点です。
まとめ|いびきで起きないときは迷わず119番を

いびきをかいて起きない状態は、単なる睡眠中のいびきとは限らず、脳梗塞を含む脳卒中や呼吸異常が隠れている可能性があります。
また、普段から続く慢性的ないびきは、睡眠時無呼吸症候群の確認やいびき治療を検討するきっかけになります。
緊急サインがある場合は、いびき治療ではなく119番
いびきをかいたまま起きない状態は、単なる熟睡とは限りません。特に下記のような場合は、脳梗塞を含む脳卒中や呼吸異常、意識障害の可能性があります。
- 反応がない、目を開けない
- 呼吸が途中で止まる、波状に乱れる
- 顔の歪み、ろれつの異常、片側の麻痺がある
このようなサインが1つでもある場合は、原因を家庭で見分けようとせず、迷わず119番してください。脳卒中では発症からの時間が治療方針に関わるため、「少し様子を見る」という判断が大きなリスクになることがあります。
慢性的ないびきは放置せず、睡眠時無呼吸症候群の確認を
一方で、毎晩のように続く大きないびきや、睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。慢性的ないびきは、音の問題だけでなく、睡眠中の低酸素や血圧変動を通じて、心臓や血管に負担をかけることがあります。
特に高血圧、糖尿病、肥満、心房細動、喫煙習慣がある方は、いびきを「いつものこと」と片づけず、睡眠検査や専門相談を検討しましょう。
急な異変は救急対応、日常的ないびきは検査・治療相談と分けて考えることが大切です。
大阪大学医学部を卒業後、大学病院や一般病院での臨床経験を経てレーザー治療を中心に専門性を磨き、日本レーザー医学会認定医1種や日本抗加齢医学会専門医の資格を取得。その豊富な実績が評価され、某大手クリニックで総院長を務めるなど、10年以上にわたり医療の最前線で活躍しています。また、著書『医師が教える最強のメンズ美容ハック』(幻冬舎)などを通じて、レーザー治療や健康管理に関する情報を積極的に発信。現在は、その長年の知見と技術力を活かし、いびきのレーザー治療クリニックを監修し、患者一人ひとりの悩みに寄り添った安全かつ効果的な治療を提供しています。
あなたの眠りに役立つヒントや
おトク情報をLINEでお届けします!
