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チェーンストークス呼吸とは何かを呼吸周期と症状の詳細を解説

チェーンストークス呼吸とは何かを呼吸周期と症状の詳細を解説

「チェーンストークス呼吸」は一言でいうと、一定の間隔で繰り返される呼吸異常のことです。

睡眠中に呼吸が止まる時間と浅く速い呼吸を繰り返し、放置すると死に至る可能性もあります。

健康な人でも高山病のように酸素が薄い場所にいる時にみられることがあり、実は心臓や脳・肺といった重要な臓器の病気が隠れているサインかもしれません。

この記事では、チェーンストークス呼吸の原因や症状、そして適切な治療法について詳しく解説していきます。

チェーンストークス呼吸と呼吸周期の特徴

ストークス呼吸の定義と主な特徴

「チェーンストークス呼吸」は、脳腫瘍や脳梗塞などの脳血管系疾患、心不全、胃不全、大量の失血などの病気や症状が関連して発生する呼吸です。

呼吸の周期の特徴を抑えながら、さまざまなパターンや症状の特徴についてもみていきます。

チェーンストークス呼吸の周期とリズム

チェーンストーク呼吸の特徴的な周期は?

まるで波のように呼吸が大きくなったり、小さくなったりを繰り返す不思議な呼吸リズムです。

最初は浅く短い呼吸から始まり、次第に呼吸が深くなり速くなります。ピークに達すると徐々に呼吸が浅く遅くなって、最後は呼吸が一時的に止まってしまうこともあるのです。

この呼吸が止まっている状態を「無呼吸」と呼びます。

「浅い呼吸→深い呼吸→浅い呼吸→無呼吸」のサイクルを、何度も繰り返すのが、チェーンストークス呼吸の特徴です。

チェーンストークス呼吸は多くの場合、心不全や脳血管疾患などの病気のサインである可能性があります。

チェーンストークス呼吸の周期とその影響

チェーンストークス呼吸の 一回の呼吸周期は30秒から2分くらいです。

呼吸が速くなったり遅くなったりすることで、体に取り込まれる酸素の量も変化します。 結果として血液中の酸素濃度が低下し眠気や倦怠感などの症状が現れます。

状態 説明
呼吸が浅く・遅い 体に取り込まれる酸素量が減り、酸素不足を感じます。
呼吸が深く・速い 酸素不足を補おうと体に取り込まれる酸素量が増えます。
無呼吸 酸素が補われたと体が認識して呼吸が止まり、体に取り込まれる酸素量がゼロになります。無呼吸の時間が長いと意識を失ったり、心臓に負担がかかったりする危険性が。

呼吸の変化によって体の状態も変化していくことがわかります。

チェーンストークス呼吸と他の呼吸パターンとの違い

私たちの呼吸には実はさまざまなパターンがあります。安静時、運動時、睡眠時など、状況に応じて無意識に呼吸パターンが変わっているのです。

呼吸のパターンの違い

リラックス時:ゆっくりと深い呼吸をしている。「規則正しい呼吸」と呼ばれ健康な状態を示しています。

激しい運動をした後:呼吸が速く・浅くなる。運動によって消費された酸素を多く補給しようとしている状態。

チェーンストークス呼吸は、これらの正常な呼吸パターンとは異なり、病気のサインである可能性があります。

とくに睡眠中にチェーンストークス呼吸がみられる場合は注意が必要です。

次に病気の可能性がある呼吸法について確認をしていきます。

状態 説明
チェーンストークス呼吸 浅い呼吸と深い呼吸、無呼吸を繰り返す呼吸パターン 心不全、脳血管疾患など
Kussmaul呼吸 大きく深い呼吸を繰り返す呼吸パターン。

ケトン体の酸性を中和しようとして、血液中の二酸化炭素を減らすため深く速い呼吸になります。
糖尿病性ケトアシ
Biot呼吸 浅い呼吸と無呼吸を不規則に繰り返す呼吸パターン。

脳幹の障害により呼吸中枢が圧迫されたり、機能が低下したりすることで起こります。
頭蓋内圧亢進

呼吸パターンはさまざまで、通常とは違う呼吸をしていたら病気を疑うことが大切です。

心不全・脳血管疾患、そのほかにもさまざまな原因が考えられます。

チェーンストークス呼吸を引き起こす病気

チェーンストークス呼吸を引き起こす病気

チェーンストークス呼吸は脳血管系疾患から薬物中毒など引き起こす原因は多岐にわたります。

チェーンストークス呼吸を引き起こす病気

  • うっ血性心不全
  • 中枢神経疾患
  • その他の関連疾患

3つの分類に分けてチェーンストークス呼吸に関連する病気についてみていきます。

うっ血性心不全とチェーン・ストークス呼吸の関連と特徴

「うっ血性心不全」
  • 心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる病気
  • 心臓がうまく働かないため血液の流れが滞り肺に水分が溜まって息苦しさを感じる

心臓は体全体に酸素を送り届けるための重要なポンプの役割です。

しかし「うっ血性心不全」になるとポンプ機能が低下するため体全体に酸素が行き渡らず、息苦しさや疲労感などの症状が現れます。

さらに進行すると呼吸をコントロールする脳の中枢にも影響を及ぼし、チェーンストークス呼吸を引き起こすことがあります。

重症のうっ血性心不全の患者の場合、約3割から5割もの方がチェーンストークス呼吸を合併すると言われています。

中枢神経疾患とチェーン・ストークス呼吸の関連と特徴

  • 中枢神経とは?
    • 脳や脊髄といった体の中心となる神経のことです。私たちの体は脳からの指令によって呼吸や心臓の動き、体温調節などさまざまな機能をコントロールしています。

    脳卒中や脳腫瘍、脳炎といった病気はこの中枢神経にダメージを与え、呼吸をコントロールする機能に影響を及ぼすことがあります。

    脳卒中を発症した患者の場合、後遺症として体の麻痺や言語障害、チェーンストークス呼吸が現れるケースもあるのです。

    またアルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患も、中枢神経に影響を与え呼吸中枢の機能を徐々に低下させる可能性があります。

    脳卒中患者48例を対象に病巣部位と異常呼吸との関係を検証
    周期性呼吸に関しては脳卒中患者の27例(56.3%)の割合で異常呼吸が確認できたと報告されています。

    その他の関連疾患

    うっ血性心不全や中枢神経疾患以外にも、チェーンストークス呼吸を引き起こす可能性のある病気がいくつかあります。

    疾患名 詳細
    睡眠時無呼吸症候群 睡眠中に呼吸が止まる病気でチェーンストークス呼吸も併発しやすい
    慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺線維症 呼吸機能を低下させるため、チェーンストークス呼吸のリスクを高める可能性がある
    薬の副作用 「睡眠薬」や「鎮静剤」、「モルヒネ」などのオピオイド系鎮痛薬などは、呼吸中枢の働きを抑制する作用があるため、注意が必要

    一般的に呼吸の停止や呼吸機能を低下させる病気と、チェーンストークス呼吸は併発しやすい特徴があります。

    チェーンストークス呼吸は長期間にわたる喫煙習慣や大気汚染などが原因で発症することが多く、近年では患者数が増加傾向にあります。

    もしチェーンストークス呼吸の可能性がある際は、自己判断せずに医療機関を受診し専門医の診断を受けることが大切です。

    チェーンストークス呼吸の症状と経過

    チェーンストークス呼吸の症状と経過

    チェーンストークス呼吸は、息苦しさだけでなく、日常生活にもさまざまな影響を及ぼす可能性があります。

    どのような症状が出たらチェーンストークス呼吸を疑った方がよいのかにせまっていきます。

    キーワードは以下の2つです。

    チェーンストークス呼吸の症状

    • 傾眠(けいみん)
    • 倦怠感(けんたいかん)

    傾眠(けいみん)とチェーンストークス呼吸の関係性

    「傾眠」とは、簡単に言うと「強い眠気」のことです。日中に起きていようと思っても、我慢できないほどの眠気に襲われることがあります。

    たとえば会議中に襲ってくる猛烈な眠気に耐えられずついウトウトとしてしまい、上司に注意されてしまった経験もあるかもしれません。

    これはたんなる寝不足ではなく、チェーンストークス呼吸が原因で脳に十分な酸素が供給されていないために起こっている可能性があります。

    倦怠感(けんたいかん)

    「倦怠感」とは、「だるさ」や「疲労感」のことです。十分に休んだはずなのに体がだるくやる気が出ない状態が続きます。

    「明日は外出しよう」と思っていたにもかかわらず、朝起きた時から体がだるく一日外出できずに終わってしまった。

    これもたんなる疲労ではなく、チェーンストークス呼吸が原因で体が酸素不足に陥っているために起こっている可能性があります。

    チェーンストーク呼吸の注目ポイント

    たんなる睡眠不足や疲労とチェーンストークス呼吸は似ているため、多くの方が「疲れているだけだろう」と軽く考えてしまいがちです。

    しかし放置すると心不全などの重い病気を引き起こす可能性もあるため、早期発見・早期治療が非常に重要になります。

    チェーンストークス呼吸の日常生活への影響と注意点

    チェーンストークス呼吸の日常への影響
    • 息苦しさ
    • 強い眠気
    • 倦怠感
    実生活への影響や懸念
    • 仕事中に集中力が続かずミスが増えてしまったり、運転中に強い眠気に襲われ事故を起こしてしまいそうに
    • 家事や育児に集中できず、家族に負担をかけてしまうことも
    • 趣味やレジャーを楽しむ余裕がなくなり、生活の質が低下してしまうケースも

    以上のようにチェーンストークス呼吸は放置すると仕事や家庭、社会生活など、私たちの生活のあらゆる場面に悪影響を及ぼす可能性があります。

    チェーンストークス呼吸の症状の進行過程

    チェーンストークス呼吸の症状は、最初は軽度で自覚症状がない場合もあります。

    しかし、治療せずに放置すると徐々に症状が進行し日常生活に支障をきたすようになります。

    初期段階
    初期段階では夜中に何度も目が覚めることや朝起きた時の頭痛が主な症状です。日中時間帯に眠気や倦怠感を覚えることもあります。

    中期段階
    中期段階になると日中の眠気や倦怠感が強くなり、集中力の低下や意欲の減退がみられるようになります。そして、仕事や家事など日常生活に支障が出始めます。

    さらに症状が進行した場合

    チェーンストークス呼吸を繰り返すと二酸化炭素が体に溜まり意識レベルが低下して朦朧状態になります。意識消失によって舌根沈下や窒息呼吸数のさらなる低下が生じることで、呼吸停止につながり最悪死に至るケースもあるのです。

    チェーンストークス呼吸は進行性の病気であり、早期に診断・治療を開始することが大切です。

    チェーンストークス呼吸の診断方法と検査内容は?

    チェーンストークス呼吸の診断方法と検査

    チェーンストークス呼吸は進行すると非常に怖い症状のため、診断や検査方法を知っておくと安心です。具体的な診断の流れについてみていきましょう。

    無呼吸低呼吸指数(AHI)の評価でチェーンストークス呼吸の診断をする

    無呼吸低呼吸指数(AHI)とは

    AHIは、睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を表す数値です。

    たとえば、1時間に5回呼吸が止まる状態が10秒間続いたとします。この場合、AHIは「5回×10秒=50」となりAHIが50という結果です。

    このAHIの値によって呼吸状態の深刻度を判断します。AHIが5未満であれば正常範囲とされとくに治療の必要はありません。

    しかしAHIが15以上になると中等度の睡眠時無呼吸症候群と診断され、医師の判断によっては治療が開始されることがあります。

    AHIは2種類の検査方法があります。1つ目が自宅で行う簡易検査でより詳細な検査を医療機関実施可能です。

    自宅で行う簡易検査は、センサーを指や鼻に取り付けて、睡眠中の呼吸や酸素飽和度を測定します。

    自宅で手軽に行えるため費用が比較的安いですが、測定できる情報が限られたね正確性にかける場合があります。

    より正確にAHIを評価するためには医療機関で「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」を行うのが安心です。

    終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)とは?
    • PSG検査は、脳波・眼球運動・心電図・筋電図・呼吸曲線・いびき・動脈血酸素飽和度などの状態を測定する検査。
    •   
    • 検査でわかるものは、閉塞性睡眠時無呼吸、周期性四肢 (しし) 運動障害、睡眠時随伴 (ずいはん) 症などの睡眠障害の診断が可能です。チェーンストークス呼吸についても詳細を知ることができます。

    専門医によるチェーンストークス呼吸の診断の流れ

    チェーンストークス呼吸が疑われる場合は呼吸器内科や循環器内科、神経内科などの専門医を受診します。

    チェーンストークス呼吸を起こす場合には、そもそもの原因となる病気がすでにあることが多いため、まずはかかりつけの医師に相談するのがよいでしょう。

    医師は問診や身体診察を行い症状や病歴、日中の眠気や倦怠感、睡眠中の呼吸停止などの症状などの生活習慣も具体的に確認をします。

    問診の際に聞かれる質問例
    • 日中時間帯に眠くて仕方がないことはありませんか?
    • 夜中に何度も目が覚めることはありませんか?
    • 家族から、寝ている時に呼吸が止まっていると言われたことはありませんか?

    検査と結果と問診の内容を総合的に判断を行い「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」で確定診断を行います。

    チェーンストークス呼吸は適切な治療を行うことで、症状の改善や病気の進行抑制が期待できる病気です。

    少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し、専門医に相談することをおすすめします。

    チェーンストークス呼吸の治療法と予後

    チェーンストークス呼吸の治療法と予後

    チェーンストークス呼吸は「この息苦しさは治るのだろうか」「治療法はあるのだろうか」と多くの方が不安になります。

    ここからは具体的な治療法と治療後の経過や予後について、具体的な例を交えながらわかりやすく解説していきます。

    チェーンストークス呼吸の治療方法

    チェーンストークス呼吸の治療は、大きく分けて「原因となる病気の治療」と「呼吸の状態を改善する治療」の二つの方針で行います。

    原因となる病気の治療
    • 仮に「うっ血性心不全」を発症している場合は、心臓の負担を減らしポンプ機能を改善するための薬物療法をおこないます。
    •   
    • 薬は利尿薬、強心薬、血管拡張薬などを使用。原因となる症状が改善することでチェーンストークス呼吸の根本の解決へのアプローチが可能に。
    薬の種類 働き
    利尿薬 体内の余分な水分を尿として排出することで、心臓の負担を軽減する
    強心薬 心臓の収縮力を高め、ポンプ機能を改善する。 ただし、長期予後を悪化させる(寿命を伸ばさない)ため、血圧が低い場面で一時的に使用するのみに留める。
    血管拡張薬 血管を広げることで、血液の流れをスムーズにし、心臓の負担を軽減する

    次に、「呼吸の状態を改善する治療」について説明します。代表的な治療法として、酸素療法とCPAP療法があります。

    呼吸の状態を改善する治療
    • 酸素療法
    • 酸素療法は鼻に装着したマスクなどを通して酸素を体内に取り込む治療法です。空気中に含まれる酸素の濃度は約21%で、酸素療法ではさらに高い濃度の酸素を供給することで血液中の酸素濃度を高め息苦しさを改善します。

    • CPAP療法
    • CPAP療法は「シーパップ療法」とも呼ばれ、鼻に装着したマスクを通して空気を送り込み気道を広げて呼吸を楽にする治療法です。

      チェーンストークス呼吸の睡眠中に呼吸が浅くなったり一時的に止まったりする状態から、CPAP療法によって安定した呼吸を確保することができるようになります。

      CPAP療法は、いびきや無呼吸を伴う「睡眠時無呼吸症候群」の治療にも用いられる方法ですが、チェーンストークス呼吸の患者にも有効な場合があります。

    チェーンストークス呼吸の治療期間は?

    チェーンストークス呼吸の治療期間は、原因となる病気の重症度や患者の状態によって大きく異なります。

    軽傷の場合 薬物療法によって数週間から数か月で症状が改善することも
    重症の場合 長期的な入院も(半年以上の入院が必要な場合も)

    さらにチェーンストークス呼吸は一度改善しても再発する可能性もあるため、継続的な経過観察が重要となります。

    チェーンストークス呼吸の経過観察と予後について

    チェーンストークス呼吸は経過観察と予後は、原因となる症状の状態や病気によって大きく異なります。

    脳腫瘍が進行した場合は

    脳腫瘍の進行を止めることが難しく、チェーンストークス呼吸も改善せず予後が悪いことがあります。

    完治ができる病気の場合は

    チェーンストークス呼吸の改善も期待ができ予後は良好な方も多いです。

    チェーンストーク呼吸の治療で押さえておきたいポイント
    • 早期の発見・早期治療は完治できる可能性も高くなるため、睡眠で異常が起きていないかは定期的に確認することは非常に大切。
    • チェーンストークス呼吸と診断された場合は、医師から治療方針や予後について、詳しく説明を受けるようにしましょう。
    チェーンストークス呼吸が疑われる場合は専門医に相談!

    チェーンストークス呼吸は、浅くゆっくりした呼吸と深く速い呼吸を繰り返す、波のようなリズムを持った呼吸パターンです。

    多くの場合、心不全や脳血管疾患などの病気を持っている可能性があります。

    チェーンストークス呼吸は原因となる病気や重症度治療への反応によって異なり、適切な治療によって症状の改善や病気の進行の抑制が期待できます。不安な場合は専門医に相談し適切な治療を受けてください。

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