コラム
COLUMN
いびきレーザー治療は効果ある?治療費用やメリット・デメリット
いびきのレーザー治療は、従来の外科手術治とは異なりメスを使わずレーザーの照射で気道を広げることができます。
しかし、本当にレーザー治療はいびき改善の効果があるのか、治療するとしたら費用はどれくらいなのかをまず知りたい方へ、効果と費用にまつわる情報をお届けします。
いびきのレーザー治療の効果とはどんなもの?
いびきのレーザー治療は、特に喉いびきの改善に効果的とされており、レーザーを使用して気道を広げることでいびきの発生を減少させます。
気道を広げる方法として、レーザー治療には二つの方法があり、喉の粘膜や組織の一部を切除する方法と喉の組織を縮小させる方法があります。
レーザー治療でいびき改善効果が得られる仕組み
レーザー治療は、いびきの原因となる軟口蓋(なんこうがい)などの粘膜や、口蓋垂(のどちんこ)などの組織にレーザーの熱エネルギーを照射し縮小・除去させ、空気の通り道を確保することでいびきの音を軽減・消失させる施術です。
レーザーの熱は、余分な粘膜や組織を蒸散させて縮小・除去するだけでなく、コラーゲン繊維を収縮させる効果もあります。
これにより、たるんだ軟口蓋や舌の付け根などを引き締め、気道を広げることができます。
いびきのレーザー治療は、約1ヶ月に1回の間隔で照射を繰り返し、合計3~5回の施術で終了となるのが一般的です。
個人差はありますが、およそ3回の照射で治療の効果が約1~3年間は継続する患者が多く、その後は経過を見て追加照射を行います。
レーザー治療によっていびきの軽減とともに得られる効果
レーザー治療を行いいびきの音の軽減、または消失が実現されると、日常生活において様々な影響に期待できます。
いびきのレーザー治療後に期待できる効果
- 日中の眠気や倦怠感の軽減
- 集中力や記憶力の向上
- 睡眠時無呼吸症候群の改善
- 高血圧や心臓病などのリスク軽減
いびきやSASは、睡眠の質を低下させ、日中の眠気や倦怠感を引き起こします。
レーザー治療によってこれらの症状が改善されれば、日中の活動性が向上し、生活の質も高まります。
質の良い睡眠は、脳の休息と機能回復に不可欠です。
レーザー治療によって睡眠の質が向上すれば、集中力や記憶力も改善され、仕事や勉強のパフォーマンスアップにもつながります。
いびきと深く関連する睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。
レーザー治療により気道が確保されれば、SASの症状改善も期待できます。
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や心臓病などのリスクを高めます。
レーザー治療によってSASが改善されれば、これらの病気のリスクを軽減できる可能性があります。
従来のいびきのレーザー治療は、喉の粘膜や組織をレーザーで焼き切る切開手術が主流でした。
喉の組織を除去するため再発率は低いものの、痛みが激しく10~14日間は食事や日常生活に大きく支障をきたすものでした。
現在主流な、喉の組織を引き締めるレーザー治療はダウンタイムが短いまたはほとんどなく、すぐに日常生活に戻れる手軽さが人気の理由です。
レーザー治療のなかでも、ダウンタイムがほぼないうえに効果を長く持続できる治療方法を選ぶことも可能です。
いびきのレーザー治療の種類とそれぞれの効果
いびきのレーザー治療は、大きく分けて「切除するレーザー治療」と「切除しないレーザー治療」の2種類があります。
口蓋垂を切除するいびきレーザー治療
いびきのレーザー治療に、電気メスやレーザーで口蓋垂とその周りの軟口蓋粘膜を焼き固めて切除する、口蓋垂軟口蓋形成術(LAUP)と呼ばれる治療法があります。
LAUPは、物理的に口蓋垂や軟口蓋を形成することで気道を広げ、いびきの発生を抑えます。
LAUPによる治療は、口蓋垂や軟口蓋が大きい人や、たるんでいる場合に有効な方法です。
ただし、施術後の無呼吸症候群の症状が悪化した合併症の例があることから、欧⽶の学会では無呼吸の⼿術としては推奨されていません。
LAUPの施術は日帰りで行えますが、局部麻酔が必要となり、また施術後に腫れや痛みが生じる可能性があります。
メスを使用しない切除方法のため出血は最小限ですが、医師の技術によっては出血を伴うことがあります。
切除せず喉の組織を照射するいびきレーザー治療
「切らない治療法」とも呼ばれる方法で、レーザーで口蓋垂や軟口蓋を照射し、組織を引き締める治療方法です。
LAUPよりも新しく、治療法として注目されているレーザー治療です。
当院オリジナルのスノアレーズもこの方法の一つで、他にもパルスサーミアやナイトレーズといった方法があります。
ナイトレーズは軟口蓋にレーザーを照射し、熱エネルギーで組織を引き締めることで、気道を広げる方法です。
切除を伴わないため、身体への負担が少なく、術後の痛みや腫れもほとんどありません。治療時間も短く、日帰りで治療を受けられる手軽さも魅力です。
ナイトレーズは複数回の照射が必要な場合もありますが、比較的短期間で効果を実感できることがあります。
ただし、レーザー照射による熱で粘膜表面が蒸散(浅い火傷のような状態)を起こす可能性があり、術後数日間は軽い痛みや違和感を覚えることがあります。
パルスサーミアは高周波を照射し、粘膜下の組織を縮小させ気道を広げます。
ナイトレーズと同様に、切除を伴わないため、身体への負担が少なく、ダウンタイムも短いです。
パルスサーミアによる高周波の熱エネルギーは、コラーゲン繊維を刺激し、組織の再生を促す効果もあるため、長期的な効果が期待できます。
ナイトレーズと異なるのは、粘膜表面を蒸散させずにより深部の組織に作用するため、施術後の痛みや違和感が少ないという点です。
当院スリープメディカルクリニックでは、2つの波長を持つレーザーを組み合わせた、オリジナルの照射方法「スノアレーズ」を採用しています。
切除するレーザー治療の効果を持ち、かつダウンタイムの少ない新しいレーザー治療法です。
従来のレーザー治療の照射時間は30分間でしたが、当院開発の治療法ではわずか15分間で終了し、従来の短波長レーザーの1.5倍の熱量を加えることが可能となりました。
また当院のスノアレーズは1回の治療で42%、2回の治療で80%の患者が「いびきの音量が減少した」と回答(※)しています。
- 調査期間:2024年1月13日~2月28日
- 調査対象:当院のモニター患者から抜粋
- 調査人数:75名
それぞれのいびきレーザー治療の費用相場
どのようないびきの治療にするのか決める際に、検討すべき条件の一つが「費用」です。
いびきレーザー治療の費用は、クリニックや施術回数、施術方法によって大きく前後しますが、相場としては以下の通りとなっています。
切除するレーザー治療 | 切除しないレーザー治療 | |
---|---|---|
治療名 | LAUP | ナイトレーズ パルスサーミア スノアレーズ |
健康保険の適用 | 保険適用の可能性あり 睡眠時無呼吸症候群と診断された場合 |
保険適用なし |
費用 | 10万円 保険適用の場合は3割分負担 約3万円 |
1回あたり 約3万~9万円 |
口蓋垂を縮小・切除するLAUPでは保険診療の対象となり、その場合の自己負担額は3割となります。
喉の組織や粘膜を切除しないレーザー治療では、1回あたり3~10万円と自己負担額は高くなります。
ただし、初回割引価格を設けている場合や、3~10回といった回数のプランを組み1回あたりの費用が抑えられるクリニックもあります。
いびきのレーザー治療が保険適用となる条件
いびきが睡眠時無呼吸症候群に起因する場合は、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術などの手術が保険適用となる場合があります。
ただし、保険適用にはSASの重症度や他の治療法の効果などが考慮されます。
LAUPで保険適用を受けるための条件
- 睡眠時無呼吸症候群と診断されていること
- 他の治療法で効果が得られない、または適応でないこと
保険適用される手術の種類や条件は医療機関によって異なるため、事前に確認が必要です。
いびきのレーザー治療は医療費控除の対象になる
切除しないレーザー治療は保険適用外ですが、医療費控除(※)の対象となる場合があります。
※医療費控除とは、1年間で支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税の一部が還付される制度です。
いびき改善を目的としたレーザー治療の費用が医療費控除の対象となるかどうかは、個人の治療内容やクリニックによって異なるため、確定申告を行う際には領収書を添えて医療費控除の申請を行いましょう。
自由診療であるいびきのレーザー治療は高額ですが、医療費控除を受けることで自己負担額を軽減できるメリットもあります。
ただし、費用の安さだけを追求してレーザー治療を選ぶのは安易です。
担当医師の技術レベルが低い、症状に合わない治療法を選んでしまうと、かえっていびきが悪化していまい合併症を引き起こすリスクがあります。
まずは自分自身のいびきの症状を理解したうえで、適切なレーザー治療の方法を選ぶことが大切です。
いびきのレーザー治療のメリット・デメリット
レーザーの照射によるいびき治療は、外科手術よりも体への負担がかからず、シーパップやマウスピースといった一時的な療法よりも改善効果が見込める方法として、多くの方に選ばれています。
しかし保険適用がないため費用の負担額が大きく、何回か施術をする必要があるなどデメリットもあり、すべての方に向いている治療法ではありません。
いびきのレーザー治療のメリット・デメリットの両方を理解したうえで、自分には向いているのかを検討してください。
いびきのレーザー治療の4つのメリット
レーザー治療は、切開を伴わないため、身体への負担が非常に少ない治療法です。入院の必要もなく、日帰りで治療を受けられるため、日常生活への影響も最小限に抑えられます。
体力に自信がない方や、仕事や家事などで忙しい方でも、安心して治療を受けることができます。
前述の通り、レーザー治療は日帰りで行えるため、入院の準備やスケジュール調整などの手間がかかりません。
治療時間も比較的短く、治療後すぐに帰宅できるため、忙しい方でも気軽に治療を受けることができます。
レーザー治療は、切開を伴わないため、傷跡が残る心配がありません。美容面を気にする方でも、安心して治療を受けることができます。
レーザー治療は、いびきの原因となる部位に直接アプローチするため、比較的高い治療効果が期待できます。
特に、軽度から中等度ないびきや睡眠時無呼吸症候群の方には、効果的な治療法として推奨されています。
いびきのレーザー治療の4つのデメリット
症状によっては、1回の治療では十分な効果が得られず、複数回の治療が必要になる場合があります。
治療回数が増えるほど費用もかさむため、事前に医師に治療計画を確認しておくことをおすすめします。
いびきのレーザー治療は自由診療のため治療費の負担額は安くはないのが現状です。
しかし、いびきを放置し病気が発見されたあとでは、さらに医療費が高額となります。
治療内容や医療機関によって費用は異なりますが、自分の予算内の治療費かを確認しましょう。
レーザー治療の効果は、個人の体質やいびきの原因、重症度などによって異なります。全ての方に同じ効果が得られるとは限りません。
治療前に医師とよく相談し、自身の症状に合った治療法を選択することが重要です。
レーザー治療は、切除を伴わない治療法ですが、施術後に一時的な痛みや腫れが生じる可能性があります。
切除しないレーザー治療であればダウンタイムは短く、症状が出ても翌日~2、3日程度で治まるため、気になる場合にはすぐに医師へ相談しましょう。
いびきのレーザー治療のデメリットは、複数回の施術を繰り返す必要があるため、費用と時間が必要なことです。
しかし、いびきをかき慢性的に酸欠状態が続いてしまうと、高血圧や脳卒中など、心臓や血管に関する疾患のリスクを高めてしまいます。
体への負担が少なく改善効果が見込めるいびきのレーザー治療は、開始前までは高額と感じていたとしても、変化を実感すれば費用を上回るメリットを感じることができる治療方法です。
いびきのレーザー治療が向いている人の条件
外科手術やCPAP療法など様々あるいびき治療法のうち、いびきのレーザー治療に向いている方は以下の通りです。
いびきのレーザー治療は、特に喉にある軟口蓋が原因で起こる喉いびきに対して効果的な方法です。
そのため、いびきの原因が喉以外の部位にある場合、レーザー治療だけでは十分な効果が得られないことがあります。
いびきの原因の一つに「肥満体型」があります。喉周りの脂肪が気道を圧迫していびきをかきやすくなるという仕組みです。
そのため、肥満体型の人がレーザー治療で軟口蓋や口蓋垂を引き締めても、脂肪による気道の狭まりが改善されないため、普通体型の人のほうが効果が見られやすいです。
睡眠中にいびきをかく他、呼吸が止まってしまう症状がある方は、軽度であればいびきのレーザー治療によって改善効果に期待できます。
睡眠時、1時間に呼吸が止まる回数が5回以下の方は軽度なため、レーザー照射により気道を広げることで呼吸が止まる症状を防ぎます。
しかし、1時間に15回以上呼吸が止まる重度方は、レーザー治療のみでの完治は難しい可能性があります。
いびきのレーザー治療の効果は永久的ではありません。改善効果を持続させるために、1ヶ月に1度、計3~5回の目安で継続的に通う必要があります。
しかし、全身麻酔やメスを使用することなく喉の組織を引き締めることで、睡眠の質を向上させる、メリットの多い治療方法です。
また、いびきは個人の症状によって適切な治療方法が異なるため、まずは治療前に現在の自身の状態を記録しておき、治療方法の相談から始めてみましょう。