コラム
COLUMN
睡眠中の唸り声はどうすれば良い?寝ている時に声が出るカタスレニアとは
夜に自分でも気づかないうちに、眠りながら奇妙な声を出している場合があります。このような症状、実は睡眠障害の一種である「カタスレニア」という症状の可能性があります。
「カタスレニア」とは一体どんな症状なのか?症状や特徴・原因について解説していきます。
睡眠中の唸り声カタスレニアの基本情報
カタスレニアは精神的なストレスや不規則な生活を送る人に多い睡眠障害です。睡眠中に無意識に声を出し、唸り声(うなりごえ)や叫び声が出ることが特徴です。
初めて「カタスレニア」を聞いたという方も多いと思うので順番に詳細をみていきましょう。
カタスレニアとは何か?
カタスレニアとは、睡眠中に無意識のうちに「うーっ」「ぐーっ」といった唸り声を出してしまう睡眠障害です。いびきとは違い特定の声や言葉を繰り返し発することが特徴で、本人はこの行動を全く覚えていません。
- 発症する原因は不明だが、深い睡眠中に脳が発する指令によって引き起こされると考えられている
- 日中のストレスや疲れがたまっていると夜にこのような現象が起きやすくなる
- 精神的な負担が大きい人や不規則な生活を送っている人に多い
夜中に突然の唸り声は同室で寝ている家族やパートナーの睡眠にも影響を及ぼすことが多く早めの治療が求められます。
治療は生活習慣を見直し規則正しい睡眠を心がけることが大切です。症状が改善されない場合は専門の医師に相談して適切な治療をうけましょう。
カタスレニアの主な症状と特徴
カタスレニアの症状と特徴
- 唸り声の音が深く低い
- 数秒から数十秒続くこともあり、何度も繰り返される
- 浅い眠りの時に起こりやすい
※あくまで浅い眠りである「レム睡眠」で起こりやすいですが、「ノンレム睡眠」の時も起こる可能性があります。
- ぐっすり眠っている状態:ノンレム睡眠
- 浅い眠りの状態:レム睡眠
レム睡眠とノンレム睡眠は1回の睡眠で4回から6回の周期があります。周期のどちらでも発生するため睡眠の質には大きく影響します。
さらにカタスレニアの人は唸り声だけでなく、以下のような症状を伴うこともあります。
カタスレニアに伴う症状
- 睡眠中に呼吸が止まる(睡眠時無呼吸症候群)
- 歯ぎしり
- 寝言
- 睡眠中の体動
カタスレニアは、決して珍しい病気ではありません。
最新の研究では、成人の約4%がカタスレニアを経験しているという報告もあります。しかし治療を開始している人数は多くないのが実情です。
カタスレニアになりやすい人には一定の特徴があります。
カタスレニアになりやすい人
- 若い世代
子供や若い世代に多く見られます。 - 痩せている人
体脂肪が少ない人ほどカタスレニアのリスクが高まる - ストレスを抱えている人
ストレスや疲労が溜まっていると、カタスレニアが悪化する可能性があります。
カタスレニアの原因と発症メカニズム
カタスレニアは原因が解明はされていないですが、メカニズムはある程度推測されています。現在の医学でわかっている範囲で次に解説をしていきます。
カタスレニアが発生するメカニズム
- 睡眠中に何らかの理由で声帯が異常に活動し、無意識のうちに唸り声や叫び声を発する
- 声帯に異常が起こる何らかの理由は解明されていない
- ストレスや過労、睡眠障害などが関連していると考えられている
- 個々によって発生のトリガーは異なる
カタスレニアの原因
カタスレニアの具体的な原因はまだはっきりとしていませんが環境要因や体質が関連して発生すると考えられています。
特に日常のストレスや睡眠環境の乱れが、声帯の無意識の振動を引き起こすトリガーになることがあります。
- 日中のストレスや疲労が溜まっている人は、カタスレニアのリスクが高まると言われています。
- 人はストレスを感じると自律神経のバランスが乱れ、睡眠など体の様々な機能に影響が出る。
- ストレスによって睡眠の質が低下すると、カタスレニアを起こしやすい睡眠の浅い状態(レム睡眠)が増えたり、筋肉が緊張したりしやすくなる。
- 10代後半から20代前半の若い世代に多く、男性より女性の方が起こりやすいと言われています。
- 睡眠時無呼吸症候群のように睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気も、カタスレニアと関連があると言われている
- 睡眠時無呼吸症候群の人は気道が狭くなっているため、呼吸をする際に喉に大きな負担がかかる
※睡眠時無呼吸症候群のような負担が、声帯の異常な動きを引き起こしカタスレニアの症状につながると考えられています。
カタスレニアのトリガーの例
- お酒の飲みすぎ
- 睡眠不足
- 薬の副作用
アルコールには、筋肉を弛緩させる作用があります。適量であればリラックス効果も期待できますが、過剰に摂取すると睡眠中の喉の筋肉の動きにも影響を与え、声帯が震えやすくなってしまうのです。
睡眠不足もカタスレニアのトリガーとなりえます。睡眠不足は体のリズムを崩し睡眠中の呼吸や筋肉の動きを不安定にする可能性があります。
特定の薬の副作用でカタスレニアが起きることもあります。特に睡眠薬の中には筋肉を弛緩させる作用を持つものがあり、その副作用としてカタスレニアの症状が現れることがあります。
※複数の要素が複雑に絡み合ってカタスレニアのリスクを高めていると考えられます。
カタスレニアの診断方法
カタスレニアは何科に行けばいいのか迷ってしまう方も多いです。
カタスレニアの診断は、「精神科」「心療内科」「神経内科」で行われます。
カタスレニアの問診時の質問
- いつから唸り声がするようになったのか?
- どのくらいの頻度で起こるのか?
- 唸り声の大きさや長さ、音の特徴は?
- その他に睡眠中の症状(いびき、呼吸停止、寝言など)はあるか?
- 日中の眠気や疲労感はどうか?
- 最近、ストレスに感じる出来事はあったか?
問診の後は身体診察が行われ、聴診器を使って呼吸器や心臓の音を確認したりのどや鼻の状態を診たりします。
場合によっては血液検査や画像検査(レントゲンなど)が行われることもあります。カタスレニアの原因として他の病気が隠れていないかを調べるために精密検査はおこなれるのです。
問診や身体診察だけではカタスレニアかどうかはっきりとした診断が難しい場合があります。
こうしたときは終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)が有効です。
睡眠中に体のいろいろなデータを調べる医療検査です。この検査で、脳波や心電図、呼吸の様子、筋肉の動き、血中の酸素量などを一晩じゅう記録します。
PSGは睡眠時の問題を見つけるのに使われ、睡眠時無呼吸症候群や不眠症などの診断に役立ちます。この検査により睡眠の質をチェックしどんな治療が必要かを判断できます。
専門医を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
カタスレニアの専門医の選び方
- 豊富な診療経験を持つ医師を選ぶ
- わかりやすく丁寧な説明をしてくれる医師を選ぶ
- セカンドオピニオンにも対応してくれる医師を選ぶ
※個々で症状に特徴があるためなかなか相性の良い専門医を見つけることは難しい場合もあります。
カタスレニアの治療法と施策
結論としてカタスレニアは治療法はまだ確立していないです。症状を和らげるための対症療法が基本になります。
さまざまな治療法がありますので、具体的な内容や費用、期間そして起こりうる副作用やリスクまで詳しく解説していきます。
カタスレニアに効果的な治療
まず重要なのは唸り声の原因がカタスレニアだけなのか、他に隠れた病気はないのかを正確に見極めることです。
カタスレニアと同じような症状が出る病気は他にもあります。まずは原因をはっきりさせるところから始まります。
カタスレニアそのものの治療はまだ確立されておらず、日本では保険適用の治療方法はありません。
保険適用外ですが「経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)」が効果があるとの報告があります。睡眠薬や抗うつ薬などの薬物療法は効果がないと言われています
- 経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP) ※睡眠時無呼吸症候群の治療法
- マウスピースによる治療
- 生活習慣の改善
- 心理療法
カタスレニアと診断された場合でも、睡眠時無呼吸症候群の治療が有効な場合があります。
「経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)」は鼻に装着したマスクから空気を送り込み気道を広げて呼吸を楽にする治療法です。
CPAP療法は睡眠中の呼吸を安定させることで、カタスレニアの唸り声を軽減する効果も期待できます。ただし、保険適用外であるため自費診療となる点に注意です。
マウスピースは、下顎を少し前に出すことで気道を広げ、呼吸をスムーズにする効果があります。
ストレスや疲労、睡眠不足、飲酒、喫煙などは、カタスレニアの症状を悪化させる可能性があります。
規則正しい生活習慣を心がけ十分な睡眠をとり、ストレスを溜め込まないようにすることが大切です。
カタスレニアの中には、ストレスや不安、抑うつなどの心理的な要因が関係している場合があります。カウンセリングや認知行動療法などの心理療法が有効な場合があります。
カタスレニアの副作用とリスクについて
カタスレニアの治療に伴う副作用やリスクは治療方法によって異なります。
鼻の乾燥や鼻づまりや空気の漏れによる不快感、顔へのマスクの圧迫感などの副作用が現れることも。
マウスピースを使用する場合は、口の乾燥や痛み、顎関節症、歯並びへの影響などのリスクがあります。
心理的なアプローチでは、治療効果が現れるまでに時間がかかったり、効果が実感できなかったりする場合もあります。
またカウンセリングを受けることによって、過去のつらい経験を思い出すなど精神的な負担を感じる場合もあるかもしれません。
※いずれの治療法を選択する場合も、医師とよく相談しメリットとデメリットを理解した上で、自分にとって最適な治療法を選択することが重要です。
- 睡眠中の異常: どちらの症状も睡眠中に発生します。
- 影響の及ぼす範囲: 両疾患ともに睡眠の質を低下させ、日中のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
- 診断の難しさ: 初期の段階では自己診断が難しく、専門的な睡眠検査が必要なことが一般的。
カタスレニアの予防と再発防止策
カタスレニアをせっかく治療して症状が治まっても、今後また同じ症状が出てしまうのではないかと不安に感じる方も多いです。
しかし日常生活の中で予防策を講じ再発を防ぐための行動を起こすことで、症状をコントロールできる可能性があります。
ここからはカタスレアの予防と再発防止のために、具体的にどんなことができるのかをみていきます。
日常生活でできるカタスレニア予防法
日々の生活習慣を少し見直すだけで、カタスレニアの予防や再発防止に繋がる可能性があります。
日常からできるカタスレニア予防
- 規則正しい睡眠習慣を身につける
- ストレスを溜めない
- アルコールやたばこを控える
- 快適な睡眠環境を整える
まずは、基本となる規則正しい睡眠習慣を身につけましょう。
- 毎晩同じ時間に寝る、朝は決まった時間に起きる
- 寝る前のスマホやパソコンの使用は控え、脳を休ませる
- 快適な睡眠を得られるよう、寝室の温度・湿度・照明を調整する
現代社会はストレスに溢れていますが、ストレスを溜め込みすぎると睡眠の質が低下しカタスレニアのリスクを高めることに繋がるため注意が必要です。
ストレス解消方法としてはいかがおすすめです。
- 軽い運動(ウォーキング、ヨガ、ストレッチなど)で体を動かす
- 音楽鑑賞、読書、散歩、旅行など、自分がリラックスできる趣味を楽しむ
- 呼吸法、瞑想、アロマテラピーなども効果的
自分にとって心地よいストレス解消法を見つけ、心身のリフレッシュを心がけましょう。
アルコールやタバコも、睡眠の質を低下させる要因となります。
- 寝る前の飲酒は避け、就寝の2〜3時間前までには済ませる
- タバコは体内のニコチンが覚醒作用をもたらし、睡眠を妨げる
「お酒を飲んだ方がよく眠れる」と感じる方もいるかもしれませんが、それは一時的なもので、実際には睡眠の質を下げてしまいます。
最後に、快適な睡眠環境を整えましょう。
- 室温は18〜20℃、湿度は50〜60%程度を目安に
- カーテンやブラインドで光を遮断する
- 耳栓やアイマスクを活用する
睡眠中の唸り声は深刻な病気や睡眠障害の可能性があります。
寝ている時に声が出る。「カタスレニア」など、様々な要因が考えられますので、まずは病院に行って医師の診察を受けることをおすすめします。
カタスレニアは原因がよくわかっていませんが、症状を軽くすることは可能です。