【大人の快眠教室】暮らしの中で無理なく運動量アップ!「心地良い疲労感」でぐっすり眠るテク
睡眠のお悩み

【大人の快眠教室】暮らしの中で無理なく運動量アップ!「心地良い疲労感」でぐっすり眠るテク

「最近、寝つきが悪い」「朝までぐっすり眠れない」と感じていませんか。そんな人は、夜の過ごし方のほかに、日中の活動量にも目を向けてみてください。快眠のためには「心地良い疲労感」が欠かせません。日本栄養大学特任教授で、睡眠改善インストラクターの資格を持つ石川泰弘先生に、日常生活の中で無理なく体を動かす方法について聞きました。

記事監修
石川泰弘先生
記事監修
石川泰弘先生

いしかわ・やすひろ 日本栄養大学特任教授 博士(スポーツ健康科学)。睡眠改善インストラクター、温泉入浴指導員の資格を持つ。株式会社バスクリンの広報責任者を経て、現在は日本栄養大学での講義や、睡眠・入浴によるリカバリーについて、全国で講演を行う。“お風呂教授”としてメディアでも活躍。著書に『1週間で勝手にぐっすり眠れる体になるすごい方法』(日本文芸社)など。

眠くならないのは「体の疲れ」が足りないからかも

昔は布団に入るとすぐ眠れたのに、最近は寝つきが悪い、早朝に目覚めてしまう……。年齢を重ねるにつれて、多くの人がこのような睡眠の悩みを感じています。

不眠の原因は、生活リズムの乱れやストレス、加齢、病気などさまざまです。一方で、原因として見過ごされやすいのが運動不足による活動量の低下です。

私たちが自然と眠くなる仕組みには、大きく二つあります。一つは、人間の体に備わった「体内リズム」です。朝になると目が覚め、夜になると眠気が訪れるのは、体内リズムが正しく働いているからです。

二つ目が、朝起きてから活動することで蓄積される「疲労」です。日中に体を動かし、ほどよい疲労感を得ることで、夜になるにつれて「眠りたい」という欲求が高まり、スムーズな入眠につながります。

学生時代、スポーツで思い切り体を動かした日は、布団に入るとあっという間に眠れた経験がある人も多いはずです。

ところが、何かと便利になった現代では、日常生活で体を動かす機会が減り、多くの人が慢性的な運動不足になっています。

特にデスクワーク中心の生活では、パソコンやスマートフォンの使用により脳ばかりが疲弊し、交感神経が優位な状態が続いてしまいます。これでは身体的な疲労と脳の疲労のバランスが崩れ、心身ともにスムーズな入眠が妨げられてしまいます。

そのため夜になっても、「眠りたい」という自然な睡眠欲求が高まりにくく、寝つきが悪くなってしまうのです。

また、「昔より眠れなくなった」と感じる人も増えてきますが、それはごく自然なこと。誰でも加齢にともない“眠る力”はおとろえ、睡眠時間が短くなっていきます。

だからこそ、“スーッと眠れて朝までぐっすり”を叶えるには、毎日体を動かし、「心地良い疲労感」を得ることが重要です。

日常生活で”ちょこちょこ”動いて心地良い疲労感を

「体を動かしたほうがいい」とわかっても、仕事や家事、育児に追われる現代人にとって、運動する時間を確保するのは簡単ではありません。

そんな人におすすめなのが、生活の中で“ちょこちょこ”運動量を増やす方法です。

例えば、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う、ひと駅手前で降りて歩く、近所の買い物は車ではなく徒歩で行く、車はあえて離れた場所に停めるなど、数分でもいいので、日常生活で体を動かす意識を持つと活動量が増えてきます。

歩くときは、少し息が弾むくらいの早歩きをすると、さらに運動量がアップします。

デスクワークの人は、トイレへ行くときにスクワットをしたり、仕事で煮詰まったときには外へ出て散歩したりするのもおすすめ。体を動かすことで血流がよくなり、脳もリフレッシュできます。

運動量を増やす目安として、覚えておきたいのが「メッツ(METs)」です。メッツとは、安静時を「1」としたときに、その運動が何倍のエネルギーを消費するかを表した指標のこと。

例えば、ゆっくり歩くのは3メッツ、やや速いペースで歩くと4.3メッツと運動量が増加。掃除機がけやフロア拭きは3.3メッツと、いつもの家事も立派な運動になります。

運動が苦手な人や時間がない人は、無理をしすぎる必要はありません。毎日の生活の中で少しずつ活動量を増やして、夜の快眠を手に入れましょう。

(メッツ表)

メッツ 活動の例
3.0 ゆっくり歩く
3.3 掃除機がけ、フロア拭き
3.5 階段を下りる、お風呂掃除
4.0 階段をゆっくり上る
4.3 やや速いペースで歩く
5.8 子どもと遊ぶ(歩く・走る)
8.8 階段を速く上る

 出典:健康日本21アクション支援システム 生活活動のメッツ表を一部改変

夜遅い時間の激しい運動は睡眠に逆効果

すでに運動習慣がある人は、ぜひそれを続けてください。ただし、ぐっすり眠るためには「いつ」「どのくらい」の運動をするかが大切になります。

運動する時間帯はいつでも問題ありませんが、夜遅い時間の激しい運動だけは避けましょう。

夜になると、体は睡眠に向けて副交感神経が優位になり、リラックスモードへ切り替わります。しかし、そのタイミングで負荷の高い筋トレやペースの速いランニングなどを行うと、交感神経が優位になり、寝つきを妨げてしまうことがあります。

「疲れるほど眠れる」と思われがちですが、実はそうではありません。夜遅い時間の運動は体が興奮した状態になり体温が下がるまでに時間がかかるため、かえって寝つきが悪くなることがあります。

良い睡眠に必要なのは、ヘトヘトになるほどの疲労ではなく、「心地良い疲労感」です。運動は、就寝の4時間前までに終えるのが理想です。ウォーキングなど比較的軽い運動であれば、就寝の2時間前までを目安に終わらせましょう。

仕事終わりに運動をする場合は、18~20時頃までに終えて、その後に夕食と入浴を済ませます。寝る90分くらい前にお風呂から上がり、リラックスしてから布団に入るのがおすすめです。

また、健康のために週末だけジョギングやジム通いをしている人も多いと思います。しかし、週1回だけだとついがんばりすぎてしまい、負荷が高くなることもあります。

それよりも、20~30分でもいいので週の半ばくらいに軽く体を動かす時間をつくりましょう。適度な運動を週2~3回、継続するほうが睡眠にはプラスに働きます。

ぐっすり眠るために大切なのは、「夜寝るまでに、いかに心地良い疲労感を積み重ねられるか」です。

運動が苦手な人は、無理に始める必要はありません。階段を使う、少し遠回りして歩く、こまめに家事をするなど、日常生活の中にも体を動かすチャンスはたくさんあります。

教えて石川先生!運動と眠りのギモンQ&A

Q.いつも車通勤+デスクワークなので、平日はほとんど歩かずに終わってしまいます。でも運動はあまり好きではありません。どうしたら良いでしょうか。(30代・女性)

A.無理に運動を始めようと思う必要はありません。休日に大型ショッピングモールを歩いて回る、“推し活”でライブに行くなど、自分なりに楽しみながら体を動かせる方法を見つけてみてください。家事や買い物など、日常の数分程度の活動でも体は動かせます。小さな運動を積み重ねていきましょう。

Q.睡眠に悩みがありウォーキングを始めましたが、三日坊主で終わってしまいます。(40代・女性)

A.一人で黙々と歩くと飽きてしまうので、毎日ルートを変えるのがおすすめです。新しくできたお店を見つけたり、季節の移ろいを感じたりと、探索する気持ちで歩いてみてください。すれ違う人に挨拶をして、コミュニケーションを楽しむのも案外楽しいものです。義務的に運動をするのではなく、楽しみを見つけることで続けやすくなります。

Q.健康のために出勤前に朝ラン、夜は22時頃ジムに通って筋トレをしています。それなのに寝つきが悪い日もあります。(30代・男性)

A.運動はしすぎも良くありません。夜の運動は、20時頃までに終えるよう調整しましょう。ジムでバーベルを使うような負荷の高い筋トレは、交感神経が優位になり、そのまま就寝時間を迎えると、寝つきが悪くなります。早朝のランニングは、かえって睡眠時間を削ってしまっている可能性もあります。夜は早い時間帯に行い、1日の運動量も調整してみてください。

 

「寝つきが悪い」「ぐっすり眠れない」と感じる人は、毎日の活動量を少しだけ“+α”することから始めてみましょう。体がほどよく疲れる生活習慣が、スムーズな入眠と快適な目覚めへの第一歩になります。

イラスト/中根ゆたか 取材・文/釼持陽子

寝つきが悪い、朝起きたときに疲労感がある、日中に眠くなってしまう。

これらの睡眠のお悩みには、寝ている間の「いびき」が関係している可能性もあります。不眠、疲れでお悩みの方は、いびき治療をすることで夜の睡眠や生活の質が向上するかもしれません。お悩みの方は、いびき治療専門クリニック『スリープメディカルクリニック』へご相談ください。

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